中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

海外旅行・あれこれ(3)「マイアミ&キーウエスト」(1)

 この記事は、豪州、パースの邦人紙であるJANEWS新聞に
 2011年から2012 まで連載していた「海外旅行の思い出」
 に書いたものです。以前にこのブログにも掲載しましたが、
 電子出版しようと思ったので削除していましたが、再掲載します。
 
  旅というものは、手作りの方が思い出が強く残ります。
 ツアー旅行(変な言葉ですが・・)の場合でも、手作りの部分を
 自分で少しでも多く作ることが旅の楽しみにもなります。 
 たとえばですが・・・信号機の高さとか色とか、標識だとか、
 看板だとか・・・国によって違うものです。それらをしっかり見つめる
 ことが、記憶を鮮明にしてくれます。
 名所旧跡をどんなに観ても、思い出にはつながりません。
  失敗が多いほど、楽しい思い出が増えることになります。
  ハウツー本とは違った何かを感じ取っていただければ幸いです。

旅の思い出あれこれ 「マイアミ&キーウエスト(1)」 アメリカ・フロリダ州
  ドラマで知っていたマイアミ
 
 マイアミには、オーランドの旅が終わった後に訪れたので、同じく4回行ったことになる。マイアミというと当時アメリカでは「特捜刑事マイアミバイス」がドラマや映画で知られていたが、日本に放送されるようになったのはずっと後からだと記憶している。最近は海外ドラマチャンネルのAXNから「CSIマイアミ」が配信されていて、映像もきれいで、なかなか面白く毎週の楽しみの一つになっている。
 しかし、「特捜刑事マイアミバイス」や「CSIマイアミ」などを観(み)ていると、マイアミは犯罪の温床のような印象を受けるだろうと思う。私が訪れたわずか4回の経験では、それほど恐ろしい所だと感じなかった。
 
マイアミは二つある?
 一口に「マイアミ」と言うが、マイアミは「マイアミ市」と「マイアミビーチ市」の2つに分かれている。映画などによく出てくるのはマイアミビーチ市の方である。色とりどりのホテルが立ち並び、保養地としてアメリカや南米各地からから高齢者が避寒や避暑に訪れることでも知られている。私たちが最初に訪れる少し前までは、アメリカ人のリタイア後に住みたい町ナンバーワンだったが、当時はすでにシアトルにその地位を奪われていた。
 アメリカで宿泊する際は、どこに行ってもメンバーになっているベストウエスタンホテルに決めていた。安くて部屋が広く、ベッドサイズも大きいからである。マイアミ市の国道1号線に沿ったホテルに泊まった。昼間あちこち歩き回り夜にたどり着いたのがベイサイドマーケットだった。湾に沿って美しくマーケットが広がっている。パース在住の人たちなら、ヒラリーボートハーバーの規模を10倍にして華やかにしてもらうといい(私たちがヒラリーボートハーバーの近くに14年間も住んだのは、マイアミでの印象が強かったからでもある)。
  
ベイサイドの面白さ
  ベイサイドマーケットでは深夜まで海沿いでバンド演奏が行われ、多くの見物人が踊っていたが、5歳ぐらいの黒人の子供の踊る姿に見とれているうちに夜中を過ぎていた。さてホテルにどうすれば帰れるのか分からない。目の前に来たタクシーに乗った。すると他のタクシードライバーが順番を飛ばしたと怒っている。私たちのタクシードライバーは笑い飛ばしていたが、あっという間にホテルに着いた。なんと、乗った場所からホテルまでは100メートルも隔たっていなかったのだ。深夜であり、初めての所とはいえ、恥ずかしい思い出である。
 マイアミビーチ市にも泊まった。マイアミ市からは、湾を隔てて大陸に沿うように東西に広がっている島がビーチ市である。ビーチ市を縦断するバスに乗ってみたが、思いのほか細長い島だった。10キロ以上もバスに乗って、パースでは見かけないほどの巨大なスーパーマーケットに行ったことがある。ホテル群が立ち並ぶあたりのビーチには板で作った散歩道が長く続いており、大西洋を眺めながら散歩する気分は最高だ。
 マイアミ市とビーチ市との間には確か3本ほどの橋で結ばれていたような気がするが、私たちがいつも通っていたのはベイサイドマーケット近くからビーチ市へ向かう橋だった。橋というより道路と呼ぶべきだろうか。
  
大型観光船がずらりと並ぶ
 ビーチ市に向かう道路の右側の対岸は大型観光船の拠点でもある。世界各地からの大型観光船が毎日のように、入れ代わり立ち代わりやって来る。神戸や横浜では、年に数えるほどしかやってこない世界に誇る大型観光船が、次から次へとやってくるというのもすごいので、この道路を通る楽しみでもあった。
私たちもここから船に乗ってバハマまで行った。日本のドラマ「ニューヨーク物語」では何度もバハマが紹介されていたので興味を持って船旅をしたが、ここで紹介するほどの印象は持てなかったので省略する。
 
コンドミニアムを見に行く
  マイアミが気に入って、できれば住みたいと考え始めた。当時アメリカでは、不法滞在であっても10年間国外に出ていなければ、永住権を与えるという法律があると聞いていたからだ。ならば、その手もありかなどと考えた。海外旅行であちこちに行った際に不動産物件をよく見た。その土地のことがよく理解できるようになるからでもある。この時も不動産屋さんに飛び込んで案内を請うた。2カ所見せてもらったが、その一つに家内が飛びついて大いに迷ったものだ。マイアミを観光した経験のある方はスターアイランドをご存じだろう。ドラマにもよく出てくる、俳優、女優、歌手などの超有名人たちが住んでいる島である。湾内観光船が必ず立ち寄る島でもある。マイアミの湾内にはこのような島がたくさん存在する。
 その島のうちの一つにそのコンドミニアムがあった。玄関には厳(いか)ついガードマンが2人立っていて、中に入ると広いロビーがあり、ロビーの外は屋外プールになっている。プールの外側2面は湾内の海である。桟橋もあり釣りもできるようになっていた。ビーチ市が防波堤の役割をしていて外洋からの荒波はなく、穏やかな湾内である。
コンドミニアムの7階にその物件があった。日本風に言うと2LDKという程度で、85平方メートルと広くはないが、家具が全部注文品で調度されていた。例えばボタンを押すとテーブル調の家具の下からTVが現れるなど驚きの造りなのだ。持ち主は医師で、彼は「絵とワインだけは持って出るが、あとは全部おいて行くよ」と言う。価格は15万ドルだった。安い! このロケーションでこの内容で、この価格は買い得だと思えた。しかし、何といってもヴィザがない以上、不法滞在になり、万一ばれた時にはどうなることかと思えば手が出ない。その上に管理費が1カ月1千ドル以上もするとのことで、あきらめがついた。このコンドミニアムからの眺めは抜群であった。
(念のために書いておくと、コンドミニアムと言うのは、日本で言うところのマンションである。マンションとは、10以上の部屋がある住宅のことであって、外国で「私はマンションに住んでいる」などと言うと、大変驚かれるだろう。あなたは大金持ちね・・って)
  
2か国語が普通
 マイアミというところは、アメリカ人にとっては保養地のハワイと同じような感覚であり、南米人にとってはリゾート地ともいえる。だから、観光船も観光バスも英語とスペイン語の二カ国語ガイドである。ウインドゥに「この店は英語が話せます」と書いてあるのを見つけた時は思わず噴き出した。アメリカの他の都市に比べて両替商が多い。ある両替屋さんに入った時、ガラス窓を挟んだ向こうのカウンターにピストルがむき出しに置いてあったのには驚いた。さすがマイアミだなと思った瞬間だった。