中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

安倍首相の靖国神社参拝問題

 安倍首相が靖国神社に参拝した。
中国、韓国から猛烈な反発があるがアメリカも「失望した」とコメントを表明した。
しかし、日本の国民の中には、なぜ中国や韓国が首相の靖国神社
参拝を批判するのかを理解していない人が多いように思う。
 参拝する人たちの言い分はある。
「どこの国でも、国のために戦争の犠牲になった兵士に詣でるのは当たり前だ。
 どうして日本はそれがゆるされないのか」と。
 
 靖国問題では、以前にJA・NWES新聞に連載したことがあるが、このブログに
転載するのは長すぎるので控える。
 簡単に説明すると、日本には諸外国のような戦死者に対する国営の慰霊
施設がないといえることです。そういう施設を作ることが何よりも大切なのに、
それに手が付けられないというのも国内の政治事情によります。
 
 戦後、連合国側による「東京裁判」が開かれ、戦争責任者は罰せられました。
中でもA級戦争犯罪人として7名が死刑となりました。
 連合国側が戦争に大きく加担した戦争犯罪人を裁いたのですが、日本国内では
裁かなかったということも、この問題を大きくしてきました。日本が独自に戦争犯罪
人を裁いておれば、外国からはもっと違った評価を得たと思います。
 
 靖国神社では、戦死した兵士を祀っているのですが、その中に先ほどのA級戦犯
7名が合祀(ごうし)されているのです。
 中国や韓国は、あの多大な損害を与えた戦争の最大の責任者に日本の首相が
詣でるとは、戦争を反省していないからだと批判しているのです。
 そして、靖国神社は宗教性があるということです。そのために、他の宗教からも
批判が出ています。戦死者の中には神道以外の人も多いはずです。靖国神社
宗教法人であって国営の慰霊施設ではないのです。
 昭和天皇はメモに、本来はA級戦犯靖国神社に合祀すべきでなかったと書か
れていますし、ある時期以降、天皇靖国参拝をきっぱりとやめています。
 
 アメリカの例をみてみましょう。
アメリカでは、ベトナム戦争戦死者慰霊施設とか、朝鮮戦争での戦死者慰霊施設
とか、海兵隊の戦死者慰霊施設など数多くの慰霊施設があります。しかし、そのどれも
国営であり「無宗教」になっているのです。
 ですから、戦死した家族の宗教が異なっていても違和感なく詣でることができるのです。
 
 靖国神社の場合は神道(しんとう)ですから、本来は仏教の人も、キリスト教の人も
その他のあらゆる宗教の人たちも詣でることに違和感を抱いても仕方がありません。
 では、日本には無宗教の慰霊施設がまったくないのかと言えばあるのです。

 1953年に「戦没者遺骨の内、氏名判明しないものや遺族不明のためお渡し
できないものを、国が建設する「無名戦没者の墓」(仮称)に収納し、国の責任に
おいて維持管理する」との方針を閣議決定しました。
 その背景には、1953年に来日したアメリカの副大統領リチャード・ニクソン
靖国神社参拝を断ったという経緯もあるのでしょう。
 1959年に千鳥ケ淵慰霊施設ができましたが、先ほども書いたように、遺骨の氏名
が不明で家族に渡すことができなかった兵士のみが祀られていて、すべての
戦死者を祀っているものではありません。
 
 外国の批判をかわすには、新たにちゃんとした戦死者を祀る施設を作るか、
千鳥ケ淵の施設充実を行うか、少なくとも靖国神社に合祀されているA級戦犯
外すかと選択肢があります。
 私の意見としては、戦争を起こしたのは、A級戦犯だけではないという認識があります。
他にも責任を負わなければならない歩とたちがいるのです。「東条英機が悪い」
ということにしてしまった日本という国は、あの戦争のことをきちんと観ることを
しなかったということにもなります。
 国のために戦って戦死した人を祀ることは大切なことです。
私の場合、父とその弟3人、兄弟で4人も戦死しています。でも詣でる施設がないから、
参拝することができません。ということで、新しい施設を作ることがベストだと思います。
 それに、A級戦犯は絞首刑になったのですから「戦死」と認定しなくてもよいはずです。
だとしたら、合祀することもないはずなのです。
 日本という国は、こういう点でも異質な国だと言えますね。諸外国では見られない
現象です。