縦割り行政と言う言葉は、多くの人が知っている。
しかし、「縦割り行政」の何がよくて何が悪いのかを知っている人は少ない。
縦割り行政の問題点を肌で感じるのは、「役所」との厳しい交渉を経験した
人たちだろう。
縦割りと言うのは言葉通りで、役所内での横のつながりがないと言うことだ。
衝立一つ隔てただけで、隣の人が何をやっているのかも知らない。役所内の
連携がないので、国民や市民は「あっちで聞いてくれ」と、次から次へと振り回
される。もうどこに行けば問題解決につながるのかも分からなくなる。
そのようなことは日常茶飯事だ。役所なんて糞くらえと思ってしまうほど腹立
たしい思いをした人も多かろう。
今回の大震災で、世界や日本各地から被災地に救援物資が送られた。
この場合で言えば、どのような手続きを踏めば、正確にどこいに届くのかと
言うことでさえ、縦割り行政下では上手くいかない。
中国や韓国などから苦情が出たのもそのためだ。またせっかく送った
救援物資が邪魔になって燃やしたと言うところもある。送った側から言えば
何のために・・・と思うが、送られた方から言えば、保管する場所もなく仕方
なく燃やしたと言うことらしい。
国も、各県も、日本はすべて縦割り行政だ。だからスムーズに事が運ばない
体質になっている。何百年も続いた日本の大欠点なのだが、依然として改善
される気配はない。
外国の役所へ行けば、その違いがよく理解できる。横のつながりがスムーズ
でどんな手続きも早い。どちらかと言うと日本人より器用ではなく、鈍なのだが、
鈍だからこそ、システムをしっかり作ってあって、「鈍」を補って余りある。
日本人は器用だから何でもこなせてきた。しかし、それは世の中が単純で
あったから「こなせた」のであって、現在のように複雑になっている時代では
システムこそ大切なのだ。
システムをしっかり構築していれば、今回の原発事故への対応も素早く
できたはずである。