生き方に対しては、これまでまじめに取り組んできたつもりであった。
50歳以降の自分の生き方にほとんど悔いはない・・と思っていた。
ところが最近の5年間はちょっと損をしたのではと思い始めた。
司馬さんは、私の恩師だと買って決め込んでいるが、司馬さんの本は
ほとんどすべて読みつくしたのは25年も前になる。
14年前に帰国してからは、司馬さんの本は書棚にはあるが、買い求めて
読むのは司馬さん以外の著書だった。 なにを読んでもしっくりとは来ない
ので、もう一度司馬さんの本を読もうと、とりあえずは「街道をゆく」シリーズ
の中国とか西域関連のものに絞って再読を始めた。
なんということか!!以前に読んだのに・・私の力不足で読み切れて
いなかったことを痛感する羽目になった。 すごい!! なんという迫力、
どれほどの時間をかけたのだろうか・・と、思える内容である。すごいとしか、
言いようがない。
もし、まだ読んでいないのなら、立ち読みでも良いから、最後の40ページ
ほどを読んでみると良い。何かを感じるはずだ。(2)「韓のくに紀行
(5)「モンゴル紀行」(19)「江南のみち」(25)「中国・閩のみち」この5冊を
読むだけで、あなたは変わるだろう・・と思ったりする。 私も再読して初めて
気がついたことが山ほどあった。 40年も前に書かれた本であっても、いまの
中国を考えるうえで、これほど参考になるものはない。
司馬さんの紀行本は、どれも素晴らしい。街道をゆくシリーズの中の「オランダ
紀行」や「アイルランド紀行」(1)(2)。
は、格段に気合が入っている感じがする。
特に最近の5年間・・つまらん本(それなにに高名な作家の本だが・・)を読んで
きたのだが・・貴重な時間を損したような気分でいる。5年間を司馬さんの本の
再読に充てておけばよかったのに…と悔やまれる。
街道をゆく(19)「中国・江南のみち」の最初の数ページを読んで、奥行きを
感じない人にはお勧めしません。 本と言うのは相性もありますからね。