中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

「縁起切り死」という言葉が悪い・NHKクローズアップ現代をみて

 昨夜のNHKのクローズアップ現代で ”縁切り死”なぜ愛する人が突然・・・ が放送された。
 みていてとても辛い番組だったが、感じることも多かったので敢えて書いてみたい。
 まずは番組紹介文から・・
 『どこの誰とも分からない、身元不明の遺体。その数は年々増加し、全国でおよそ2万体に
のぼる。なかでも、家族・知人の前から突然いなくなり、縁もゆかりもない場所に行って身元が
わかるものを一切捨て去り自ら命を絶つ、いわば“縁切り死”とでもいうべき死を選ぶ人が
目立っている。その背景には何があるのか。番組では、縁切り死を選んだ人の身元を特定し、
家族・知人のもとに返す警視庁の「身元不明相談室」を今回はじめて密着取材。一人ひとりの
足跡を追うとともに専門家たちの「読み解き」を交え、現代社会の知られざる一断面に迫る。』
 この番組では様々な事情の人が、敢えて自分を消し、どこの誰かも分からぬ手段で自死して
いるなかで、確認できた人の家族から情報を得ようとしている。 それが観ていてやるせない。
 人にはそれぞれに事情があるだろう。 高齢、病気、金銭問題など、その人が抱えている問題
を誰かが代わることが出来ない。
 だれよりも当人がそれを熟知していて、ならば・・名を伏せ、自分が何者かの証拠もこの世に
残さずして・・自分を消してしまおう・・と、よくよく考えた上で決行したのだと、私はおもう。
 2年前に宝島社の広告で「死ぬときぐらい好きにさせてよ」というキャッチコピーがあったが、
それを地で行った行為ではないだろうか。
 現在の医療は末期になるとチューブで繋がれかねない。 胃瘻を設置されかねない。自分は
延命治療を望んでいないのに、家族は少しでも延命をと医師に望めば「胃瘻」をさせられて
しまうかもしれない。 いったん胃瘻を作れば、家族が望んでも取り外すことが出来ないという
ことを知らずして、胃瘻設置に同意してしまうものだ。 人工呼吸なんてしてほしくないと本人が
望んでも受け入れられないことが多い。
 高価な抗がん剤などのために苦心する患者もいる。もう生きていたくないと思いながらも
そこから逃げ出されない。 痛みで苦しむ患者もいる。 生活補助金を受給したくないと考える
人もいる。 人はさまざまな事情を抱えながら生きている。 だからと言って自死を容認しようと
言うわけではないが、本人の「決断」は、家族を愛するあまりの決断と言えなくもない。
 若い人たち自死には100%反対だが、高齢者の自死は場合によっては容認されても
いいのではと、わたしは思ってしまう。「縁切り死「」ではなく「愛しているからこその死」だとも思える。