中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

「耳鼻咽喉科・日豪比較」医学とは、どこまでか。

 6年前に書いたものでも、内容は新しいと書いてきたが、この項目に限っては
そうとは言えないので、説明がいるようだ。
ここに書いてあるように、オーストラリアの専門医を訪ねても、そのクリニックで
日本のような治療を受けることはほとんどない。
日本では町の耳鼻科でも内視鏡を使っていて、目の前のモニターに映像が映る。
自分の耳の中がどうなっているのかがよくわかる。鼻茸だってバッチリカメラで
とってくれるから、鼻茸ってこういうものだったのだ!!とわかる。
 どこの耳鼻科も小児科医と思えるほどに子供にあふれている。この日本の
耳鼻科の事情も「世界の七不思議」かもしれない。しかし、ネフライザーなどもあり、
しばらく通っていると、鼻の不快感がなくなるのは事実だから、便利だと言える。
 そういう便利さに慣れていると、オーストラリアの耳鼻科では不満が募ると言うことを書いたのがこの原稿だった。
 だが、豪州の耳鼻咽喉科の実力はと言うと、日本より高いかもしれない。
なにしろ、どの専門診療科の場合にも言えることだが、とても難しい医療に関して
豪州の実力はかなり高い。世界に誇るほどのものを持っている。そののところのギャップが患者にはわかり辛く歯がゆい。
 今週の木曜日に、妻が神戸中央市民病院で診察を受ける。耳鼻咽喉科の部長
であり、副院長様である。豪州において研究を続け難聴の専門家でもあるようだ。
予約を申し込んで70日目の診察となる。これも外国並みだ。
 さてどんな診断になるのか興味深い。私は、同じ病院の医長に診てもらっていたが、耳鼻科の範疇ではないという結論をもらったが、とんでもなくひどい「頭鳴り」が
続いている。日本の場合も、医学の限界をあちこちで垣間見て(がん医療なども)
医学とは、どこまでか・・・・という不信感が強くなっている。
 
 2006年1月号「耳鼻咽喉科・日豪比較」
 なんでも ホンネ・コラム    
         
 実は、私はオーストラリアの耳鼻咽喉科について大きな不満と不安を
持っているのです。皆さんは耳鼻咽喉科にいかれたことがありますか?
多分、日本の耳鼻科(省略します)に行っておられた方がパースの耳鼻科の
専門医を訪ねると驚かれることが一杯でしょう。まず一般的な耳鼻科に
は机しかないと言う感じです。机の中から耳の中を覗く器具を取り出す
程度でしょう。日本では耳鼻科特有の椅子があって、その横には綿棒
やら薬やら置いてあるものです。医者は綿棒で耳を治療したり、鼻の中
の鼻汁などを機械で吸入したり、噴霧したりの治療後は、ネフライザー
や赤外線治療などをして終ります。時には耳のマッサージ治療もするこ
ともあります。
 2004年、何度も両耳が詰まり、人の声が聞こえ難いばかりか、自分の
声が変にこもって聞こえるために不快きわまりない感じだった。そこで、
2箇所の耳鼻科に行きました。どうして2箇所かと言うと、行きなれた耳
鼻科の予約が1ヶ月先でしか取れなかったからです。初めての専門医(
ンド人でした)ではなんと150ドルも取られました。そして抗生物質を処
方されました。納得が行かなくて1ヵ月後に行き慣れた専門医にも行きま
したが、やはり抗生物質を処方されました。鼻の炎症が中耳に及んでい
るという診断で治療のために延べ6ヶ月間も抗生物質を飲むことになり
ました。鼻のあたりは抗生物質が効きにくいので長期投与が必要だと言
う説明でした。
 翌年も同じ症状が起こったので専門医に行きました。私の英語力が低
く説明が足りないのかと思って、友人に通訳をお願いしました。専門医は
「この程度の事で専門医に来ないで欲しい、私は忙しいのだ」と言いました。GPへ行って抗生物質でも処方してもらえと言うことでしょうか。
  帰国した際に耳鼻科に飛び込みました。日本の耳鼻科の先生は耳の
中を見るなり「あ、耳垢が詰まっている」と言い、しばらくのあと「はい、これが詰まっていた耳垢ですよ」と見せてくださった。両耳が塞がって
いたのは、炎症が中耳に及んでいたからではなく耳垢が詰まっていたた
めに聞こえなくなっていたと言う単純なものでした。パースでの6ヶ月間
抗生物質服用はいったい何のためだったのかと腹立たしく思う。
パースは大好きなところ。美しい空と海、適度な都市空間と文化度は
ほかでは手に入らない美しさを持っている。ヘリコバスター・ピロリ
菌を発見したパースの町医者はついにノーベル賞まで受賞したし、オー
ストラリアの医療は日本より優れたものも多いと思います。しかし、
耳鼻咽喉科に関しては私の14年間の経験からは決して評価できないも
のでした。もっとも手術をするほどの病気であれば豪州の専門医は、
その力を発揮しているのだろうとも思いますが、耳垢が詰まっている
ことに気付かず抗生物質の大量投与は問題ではないでしょうか。
日本の耳鼻科の先生に、その話をしてみました。「あ・・羨ましいな。
本音を言うと日本もそうなって欲しいものだ。安い治療で毎日こんな
に多くの人を診ていると疲れるよ。だから、専門的な治療だけで食べ
ていけたらそれに越したことはない」それじゃ患者さんが困るじゃな
いですか。「そうだね、あなたのような場合は日本のような耳鼻科が
なくっちゃ困るよね。じゃあ、日本の耳鼻科は世界一だという誇りを
持つことにしようか」と先生は笑っていました。
 そう言えば、日本の耳鼻科はどこに行っても待合室に患者さんが溢れ
ている。風邪を引いたら耳鼻科にという風潮があるからだろう。それも
困ったものだ。本当に耳鼻科の事で困っている患者さんには迷惑な話で
ある。
 パース在住で、耳鼻咽喉科の病気で困っている方は、迷わず一時帰国
して治したほうが良いとお勧めしたい。しかし、両耳が塞がっていては
飛行機にも乗れなかったのだから、せめて耳垢が詰まっているぐらいは
わかる専門医であって欲しいものだと思っている。