中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

私流生き方(123)

(123)
身体障害者への思いやり
 
当時、この校舎には下肢に重い障害を持つ生徒が二人いました。
この二人の入学に際しては、連携校の職員組合が反対したという
いきさつがありました。重い障害者を入学させることで発生する
かもしれないトラブルを危惧してのことだと思います。
私も、身体に障害を持つこの二人の入学に際して、心配なことが一つ
だけあったのです。古いビルを改装したこの校舎は、階段が狭かった
のです。幅が一・八メートルほどあればいいのですが1・2メートル
しかなく、階段を上下するためにすれ違う時注意しなければなりません。
重い身体障者を持つ生徒がゆっくり階段を昇り降りしている時、他の
生徒が、乱暴に走って昇り降りして少しでもぶつかると、この生徒が
階段から転げ落ちてしまわないかという心配がありました。若くて元
気にあふれている生徒は、いつも走るように階段を昇り降りしています。
しかし、私の心配をよそに、障害を持つ彼ら二人が卒業するまでの四
年間、このようなことは一度も起こらなかったのです。なぜなら、彼ら
が階段を昇り降りしている時は、他の生徒はどんなに急いでいる時でも、
彼らのためにゆっくり昇り降りしたり、譲ったりしていたからです。
どんなにやんちゃな生徒にも、障害を持つ生徒への思いやりがあるよ
うでした。現在も、この時の生徒より重い身体障害のある生徒が数名
おりますが、やはり、他の生徒たちの思いやりに守られています。
このように、身体の障害が明らかな生徒に対しては心優しい生徒た
ちも、心のどこかに障害を持っている生徒に対しては、その優しさが
見られないのです。目に見えない障害を理解できるほど彼らに余裕が
ないのかもしれません。特に、いくらか奇行癖のある「心の障害児」
に対しては、同じ学校で学びたくないという思いが態度に出てしま
います。さまざまな子どもを抱えこんで教育していこうとする私の
理念は、いつもこのことで悩まされました。