中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

放射線と「がん」の関係(2)

 人間の体には、約六十兆個から100兆もの細胞があります。こんな
数字を聞いてもピンとは来ないだろうと思います。
 細胞の大きさは約10ミクロンから30ミクロンです。60兆という数字は
Ⅰ万円札を積み上げたとしますと、100万円で約1センチですから、
60兆となると600キロの高さになると思えば、数字の大きさに気がつく
でしょうか。
 もし細胞が10ミクロンとして60兆をつなげば60万キロにもなる計算
になり、20ミクロンだと120万キロにもなります。細胞の平均はおよそ
20ミクロンと考えてもよさそうですから、計算してみて下さい。
 とにかく私たちの身体は、細胞で成り立っている。このことをしっかり
覚えて置いていただきたいのです。
 さて、細胞の中はどうなっているのでしょうか。とても一言では説明でき
ない複雑さです。生きていくために必要な機能がすべて収まっています。
エネルギーを出すためのもの(ミトコンドリア)や子孫に命をつなぐための
遺伝子や毎日の生存に欠かせないタンパク質の設計図など、本にすれば、
それぞれ数冊以上は読まねばならなりません。
細胞内の各部分の専門書となれば膨大なものになってしまうほど細胞内の
働きには複雑なものがあります。だって、私たちを日々生かしているのが
細胞なのですから。
 こんな細胞の中心部分に「核」というところがあります。核には多くの人
たちが知っているDNAが収まっています。とても小さな細胞の、またその
中の「核」にDNAが大切に収められているのです。信じられないほどですが
このDNAは、髪の毛、心臓、大腸、皮膚など人間のすべての細胞(60兆~
100兆)に同じものが組みこまれています。
 だから犯罪捜査なのでは、どんな小さなもの、例えば皮膚、爪、髪の毛など
からもDNAから犯人を特定できるのです。
 細胞内の核に収まっているDNAは、小さくまとめられていますが、これを
取り出すと、それぞれのDNAの長さは一つの細胞ごとに約1・8mのものが
収まっているのです。
 1・8mを60兆掛けると、太陽と地球を60往復出来る距離となります。まさに
人体は天文学的なのです。
 10ミクロンや30ミクロンと言う数字が実感できないので、私はこれを
海の砂に例えて考えることにしています。海の砂を1ミリと考えて見て下さい。
海砂を固めて人間像を作り上げることを想像してみて下さい。すると私の
身長170センチが170メートルの巨大な人間像が出来あがります。その
砂の一粒が細胞だとすると、それらの細胞が日々有機的に働いて人間を支
えているすごさに驚きます。そして、その細胞の核のなかにすべて同じDNAが
格納されているすごさに圧倒されてしまいます。
 海砂で作った人間像を2ミリや3ミリに換算して作れば巨大なものが生まれ
ます。面白い想像でしょう?
 ここでは「がん」と関係の深いDNAだけに絞って話を進めましょう。
 DNAの働きは二つです。一つは自分を複製する働きと、もう一つは
私たちの身体を日々支えるタンパク質を作りだす設計図なのです。
一口にタンパク質と言いますが、タンパク質は現在分かっているだけでも
10万種類があり、私たちの体内のあらゆる部分で大切な役割をしています。
では、次回に・・・・。