中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

放射線と「がん」の関係(1)

 福島第1原発事故以来、日本中の人々が俄かに放射線に敏感にな
りました。
もともと戦後の日本人は広島や長崎の「ピカドン」以来、放射能という
言葉に怖れを抱いてきたのです。
 その反動かもしれませんが、放射線治療を受ける患者数は欧米に
較べて伸び率が低かったのですが、近年ようやく「低侵襲治療」
(体に負担がかからない)として認知され始め、治療を受ける患者が多
くなりつつありました。
 今回の放射線騒ぎで、放射線治療を受ける患者数が減るのか、影響が
ないのか興味のあるところです。
 さて、私はこのブログにも何度か触れましたが、「日本がん楽会」という
グループの会長をしている。日本がん楽会(らっかい)では、いろんな活動を
行っています。その一つに「がん教育講座」を毎月Ⅰ回開催しています。
この講座では、がんはなぜ発生するのかと言う疑問と、がん医療知識、がん
との向き合い方についての精神面などあらゆる側面から「がん」を勉強して
ます。
この講座では、私が講師を務めていますが、カリキュラムは次のようなものです。
第一回講座   受精から分化まで       (生物分子学から)
第二回講座   もっと細胞を知ろう      (生物分子学から)
第三回講座   iPS細胞から細胞を深く考える(生物分子学から)
第四回講座   どうして薬は効くのか     (薬理学から)
第五回講座   がんはなぜ起こるのか     (細胞学から)
第六回講座   がんと食生活を考える
第七回講座   がんと病理検査        (病理学から)
第八回講座   これまでの復習
第九回講座   放射線治療について
第十回講座   がんの予防とがん検診
第十一回講座  がんの発生から再発、転移を考える
第十二回講座  がんとどう向き合って生きるか
 
今月で20回目を迎えことになりますが、これだけ学んでも「がん」が分かったと
言えないほど奥の深い病気でもあるのです。
 先日、地震津波被害は大怪我と同じで、月日が経つと癒えてくるが、原発
事故の収束への作業は「がん治療」と良く似ていると書きました。
原子炉の中が見えない、(体の中も見えない)故障している部分が良く分かって
いない(病気の部分がよく分からない)と言う点で多くの共通点があります。
 対応の仕方も、原発とがんとでは良く似ているように思います。
 さて、放射線汚染が進む中、放射線がなぜ怖いのかも知らないままに「見え
ない恐怖」と戦っている方も少なくないでしょう。放射線被曝すると、なぜがんに
罹るのか、それを少しだけ書き綴っておきましょう。
 がん本を2,3冊読んだだけで分かったような気分でいる人も多いし、新聞や
雑誌で読んで理解できたと思っている人も少なくありませんが、がんはそんな
に直ぐには理解できない厄介なものなのです。
 がんの話を簡単にまとめることは誤解を生みやすいので、少々くどい
書き方になることをお許し頂きたいと思います。
  次回から、本論に入りましょう。