中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

旅の想い出(3)

旅の想い出(3)
「マイアミ&キーウエスト」(アメリカ・フロリダ州)(1)
 
 マイアミには、オーランドの旅が終わった後に訪れたので、
同じく4回行ったことになる。マイアミというと当時アメリ
では「特捜刑事マイアミバイス」がドラマや映画で知られてい
たが、日本に放送されるようになったのはずっと後からだと
記憶している。最近は海外ドラマチャンネルのAXNから
「CSIマイアミ」が配信されていて、映像もきれいで、
なかなか面白く毎週の楽しみの一つになっている。
 
 しかし、「特捜刑事マイアミバイス」や「CSIマイアミ」
などを観(み)ていると、マイアミは犯罪の温床のような印象を
受けるだろうと思う。私が訪れたわずか4回の経験では、それほど
恐ろしい所だと感じなかった。
 一口に「マイアミ」と言うが、マイアミは「マイアミ市」と
「マイアミビーチ市」の2つに分かれている。映画などによく
出てくるのはマイアミビーチ市の方である。色とりどりのホテルが
立ち並び、保養地としてアメリカや南米各地からから高齢者が避寒や
避暑に訪れることでも知られている。私たちが最初に訪れる少し前
までは、アメリカ人のリタイア後に住みたい町ナンバーワンだったが、
当時はすでにシアトルにその地位を奪われていた。
 
 アメリカで宿泊する際は、どこに行ってもメンバーになっている
ベストウエスタンホテルに決めていた。安くて部屋が広く、ベッド
サイズも大きいからである。マイアミ市の国道1号線に沿ったホテル
に泊まった。昼間あちこち歩き回り夜にたどり着いたのがベイサイド
マーケットだった。湾に沿って美しくマーケットが広がっている。
パース在住の人たちなら、ヒラリーボートハーバーの規模を10倍に
して華やかにしてもらうといい(私たちがヒラリーボートハーバー
の近くに14年間も住んだのは、マイアミでの印象が強かったからで
もある)。
 
 ベイサイドマーケットでは深夜まで海沿いでバンド演奏が行われ
、多くの見物人が踊っていたが、5歳ぐらいの黒人の子供の踊る姿
に見とれているうちに夜中を過ぎていた。さてホテルにどうすれば
帰れるのか分からない。目の前に来たタクシーに乗った。すると他の
タクシードライバーが順番を飛ばしたと怒っている。私たちのタクシー
ドライバーは笑い飛ばしていたが、あっという間にホテルに着いた。
なんと、乗った場所からホテルまでは100メートルも隔たってい
なかったのだ。深夜であり、初めての所とはいえ、恥ずかしい思い出
である。
 
 マイアミビーチ市にも泊まった。マイアミ市からは、湾を隔てて
大陸に沿うように東西に広がっている島がビーチ市である。ビーチ市
を縦断するバスに乗ってみたが、思いのほか細長い島だった。10キロ
以上もバスに乗って、パースでは見かけないほどの巨大なスーパーマー
ケットに行ったことがある。ホテル群が立ち並ぶあたりのビーチには
板で作った散歩道が長く続いており、大西洋を眺めながら散歩する
気分は最高だ。
 マイアミ市とビーチ市との間は確か3本ほどの橋で結ばれていた
ような気がするが、私たちがいつも通っていたのはベイサイドマー
ケット近くからビーチ市への橋だった。橋というより道路と呼ぶべき
だろうか。ビーチ市に向かう道路の右側の対岸はクルーズ船の拠点で
もある。
世界中の大型観光船が毎日入れ代わり立ち代わりやって来るので、
この道路を通る楽しみでもあった。私たちもここから船に乗ってバハマ
まで往復したものだ。
 
コンドミニアムを見に行く
 マイアミが気に入って、できれば住みたいと考え始めた。
当時アメリカでは、不法滞在であっても10年間国外に出ていなけ
れば、永住権を与えるという法律があると聞いていたからだ。
ならば、その手もありかなどと考えた。海外旅行であちこちに
行った際に不動産物件をよく見た。その土地のことがよく理解
できるようになるからでもある。この時も不動産屋さんに飛び
込んで案内を請うた。2カ所見せてもらったが、その一つに家内
が飛びついて大いに迷ったものだ。マイアミを観光した経験の
ある方はスターアイランドをご存じだろう。ドラマにもよく
出てくる、俳優、女優、歌手などの超有名人たちが住んでいる
島である。
湾内観光船が必ず立ち寄る島でもある。マイアミの湾内には
このような島がたくさん存在する。
 その島のうちの一つにそのコンドミニアムがあった。
玄関には厳(いか)ついガードマンが2人立っていて、中に入ると
広いロビーがあり、ロビーの外は屋外プールになっている。
プールの外側2面は湾内の海である。桟橋もあり釣りもできる
ようになっていた。ビーチ市が防波堤の役割をしていて外洋
からの荒波はなく、穏やかな湾内である。
 
コンドミニアムの7階にその物件があった。日本風に言うと
2LDKという程度で、85平方メートルと広くはないが、
家具が全部注文品で調度されていた。例えばボタンを押す
テーブル調の家具の下からTVが現れるなど驚きの造りなのだ。
持ち主は医師で、彼は「絵とワインだけは持って出るが、
あとは全部おいて行くよ」と言う。価格は15万ドルだった。
安い! このロケーションでこの内容で、この価格は買い得
だと思えた。
しかし、何といってもヴィザがない以上、不法滞在になり、
万一ばれた時にはどうなることかと思えば手が出ない。
その上に管理費が1カ月1千ドル以上もするとのことで、
あきらめがついた。このコンドミニアムからの眺めは抜群であった。
マイアミというところは、アメリカ人のハワイという感覚で、
南米人のリゾート地ともいえる。だから、観光船も観光バスも
英語とスペイン語の二カ国語ガイドである。ウインドーに
「この店は英語が話せます」と書いてあるのを見つけた時は
思わず噴き出した。両替商も多い。ある両替屋さんに入った時に、
窓を挟んだカウンターの向こうにピストルがむき出しに置いて
あったのには驚いた。さすがマイアミだと思った瞬間だった。