中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

旅の想い出あれこれ(2)オーランド編

-JAコラム JA20114月号
「旅の思い出あれこれ」(2) 
連載 第16
六甲庵独り言
 
旅の思い出あれこれ(2)
「オーランド」(アメリカ・フロリダ州
  
 オーランドにはこれまでに4度訪れている。最初の2回は妻と二人で、
次いで娘と3人で、そしてパースの友人たちと5人で行った。
 どうして遠いオーランドまで何度も行ったかと一言で言うならば、子供の
ような無心な気持ちになれるということだろうか。若い人たちには「新婚旅
行」に、高齢者には子供心に帰りましょう」と、オーランドをお勧めしたい。
 オーランドはフロリダ半島のちょうど真ん中あたりにある。この辺りに住
まいを持っている日本人スポーツマンがかなりいるらしい。一年中陽気が
良く、コンディション調整に最適な場所なのかもしれない。
 オーランドは「世界一ホテル(モーテルも含めて)の部屋数の多い都市」
といわれているが、それだけアメリカ各地をはじめ、世界中から観光客が
訪れるということだろう。
 オーランドを訪ねるには、最低1週間は確保しておきたいものだ。少なく
とも、ディズニーワールド、ユニバーサルスタジオ、シーワールドの3つは
ゆっくり観(み)ておきたいからでもある。ディズニーランドやユニバーサル
スタジオは他にもあるではないかと思われるかもしれないが、それが違う
のである。例えばロスにもこの2つの施設はある。しかし、オーランドの
場合は圧倒的に規模が大きくエキサイティングである
ディズニーワールドは、総面積約121平方キロメートルという広大な
敷地(NYマンハッタン島の約2倍相当)であり、その規模に圧倒される
だろう。
 ディズニーワールドは、ディズニーランドとは違うということだ。出来る
なら、ここだけでも数日かけてゆっくりしたいものである。1週間チケット
なるものもある。初めて行ったのは1990年で、その年に再度訪れ、
その翌年にも行った。最後に行ったのは1994年だったと思うから、わず
か4年間に4度も行ったことになる。
 ユニバーサルスタジオの規模や出し物にも驚いた。特に夜になってから
のアクションものが面白かった。当時アメリカで人気のドラマ「マイアミバ
イス」の演出には驚かされたものだ。シーワールドにも圧倒された。今で
は日本でも各地に大きなイルカショースタンドが建設されているが、当時
はシーワールドの規模にびっくりしたものだ。シーワールド・アドベンチャ
ー・オーランドは、世界最大規模のマリンパークでもある。
 私たちは行かなかったが、ケネディスペースセンター(KSC)は、“宇宙
に一番近い場所”“宇宙への玄関口”として知られているところでもある。
 ディズニーワールドもユニバーサルスタジオも、シーワールドも人によっ
て感動も違えば受け止め方も違うだろうから、これ以上私たちが当時感じ
たことを詳しく書いても面白くなかろう。
 オーランドでは、大変面白い経験をした。
 初めて行ったとき、全く地図が分からず、3つの施設にどのように移動
してよいのかさえ、分からなかった。そこでホテルのフロントに依頼して、
それぞれの施設に5日間送り迎えをしてもらう車の手配をしてもらった。
朝9時に送ってもらい、夜8時にピックアップしてもら約束である。古い
ことで金額は忘れたが、高いものではなかったのでお願いした。
翌日の朝、迎えに来た車はリンカーンコンチネンタルだったので驚いた
が、アメリカではこれが普通なのかと思った。運転手は黒人で、ディズニ
ーワールドまで鼻歌を唄(うた)いながらルンルン気分で運転していた。
ディズニーワールドに着き、ピックアップの時間と場所を確認したあと、
5日間の金額をここで払ってくれと言う。その金額を聞いて驚いた。ホテ
ルのマネージャーが言った金額の3倍である。ここで争ってはピックアッ
プしてくれないかも分からないし不安なので、とにかく支払った。
 車がリンカーンコンチネンタルだから高いとは思えない。運転手がこち
らをバカにしているのだろうと思い、その夜にホテルのマネージャーに
抗議したところ、私の目の前で運転手に電話をかけ怒鳴りつけていた。
 翌朝、約束の時間に迎えに来てくれて、金を返してくれたが、その日
から4日間、ぶすっとして一言も言葉を発しない。こちらは英語でうるさく
語りかけられるより、静かな方がいいので気にもしないが、彼にすれば
「儲(もう)けた!」と有頂天だったのに、とんだタヌキの皮算用になって
腹が立っていたに違いない。
 旅というものは、ツアーコンダクターに先導されてついて回るより、多少
の不自由があっても個人旅行の方が楽しい。そして、何もかも順調だった
旅よりは、何らかのトラブルがあった旅の方が印象に残っていて、いつ
までも忘れないものだ。
 一瞬、ドキンとしたり、ヒヤリとしたり、ハラハラしたり、頭が真っ白にな
るようなことが起こった方が、忘れられない旅となる。旅とは本来そういう
ものではないだろうか。
 安全を考えることは大切であるし、おろそかにしてはいけないが、恐れる
ぐらいなら旅などしない方がよい、と私は思っている。