中国・武漢からの帰国者に対し、政府はこれまでも航空機内で質問票と
健康カードを配るなど検疫体制を強化してきたが、今回は慎重を期して
さらに特別な対応を取る。機内で全員に体温を測ってもらい、症状のない
人も国立国際医療研究センターまでバスで運んでウイルス検査をする。
自宅が遠い人には、検査結果が出るまで宿泊施設で待機してもらう。
今の段階で症状がある人は、空港から医療機関に移動して診断を受ける。
ただ、これで新型肺炎感染者と断定されたわけではない。ウイルス検査で
感染が確認されれば症状に応じて入院などの対応が取られ、都内の4病院が
受け入れ準備を整えている。
症状がない場合は、日常生活に戻って構わない。厚生労働省は2~10日
程度とされる潜伏期間が終わる2週間後まで、毎日体温を測って不要不急の
外出を控えるよう求めている。
国立感染症研究所の鈴木基・感染症疫学センター長は「軽症ならウイルス
検査陽性でも入院する必要はない。ただ、現状では自宅で静養し、社会活動は
避けた方がいい」と指摘する。山岸拓也主任研究官は一般的な感染症予防も
含め、手洗いやマスクの着用、せきエチケットの励行を呼び掛ける。
政府は28日、新型肺炎を感染症法の指定感染症とし、強制入院などが可能な
「2類感染症」相当で扱う政令案を閣議決定した。施行は2月7日だが、それ
までの間も患者に協力を求める形で運用する。
武漢からのチャーター機については一人当り8万円を徴収る予定だが、
その後の医療検査は「感染法」によって賄われる。