正月は正月だろう・・・と、思っていたが、正月にも
いろいろな人生の縮図があるようだ。昔の正月は、お店も
あいていなかったし、し~~んとしていて、寂しすぎる
感じだった。だから、家族の輪の中に入ってカルタを楽しむ
とか、駒を回すとか、たこを揚げるとか・・。
わが家だけかもしれない?遊びが二つあった。その一つは
「すり鉢ころがし」と言っていた。大きなすり鉢を置いて4人
ほどが取り囲む。1円、5円、10円玉を用意する。すべて自前の
硬貨で借りてはいけないので、負けると損をするゲームだった。
ジャンケンで順番を決め、最初の人が1個の硬貨を投じる。2番目
の人から順に硬貨を入れ込むのだが、入れ方にテクニックがいる。
先に入れられている硬貨のわずかでも重なれば自分のものにできる
と言うだけの単純なものだが、面白かった。毎年、人気があった。
もう一つ「みかん釣り」もやっていた。みかんを大きな盆に山積み
し、糸を通した長針をみかんに投げて刺し、糸を操って盆の外に
出せば食べられる。 最初は山積みだから簡単に取れるが、少なく
なってくると糸を操るテクニックが必要だ。 どちらの遊びにも
テクニックがいるという点で共通していた。駒は市販のものを使って
いたが、駒捌きには自信があった・・と言うことは、それだけ練習
したということだ。私が40歳を超えた頃に、大阪の路地で駒遊びを
している子供たちに出会った。オジサンにちょっと駒を貸してくれ
ないかと頼んで、ちょんがけ、腰かけという技を見せてやったところ、
見も知らない子供たちが先輩、先輩といって慕ってきた。
私の子供時代と違って、もうその頃には駒遊びも回すだけの単純な
ものになっていたようなのだ。
だれもが持っている、そういう懐かしい正月の過ごし方があると思う。
それなのに、正月なのに・・犯罪を犯す人もいる、鉄道に飛びこむ人も
いる。 そんな人には、正月の思い出などなかったのだろうか?