11月23日のNHK杯男子フリーで、羽生選手の得点が発表された
瞬間の観客席の反応がなんとも異常だった。2位に55点以上の大差を
つけて圧勝したにも関わらず、観客席は失望のため息が漏れていた。
普通なら演技が終わった瞬間と得点が発表された瞬間に会場が沸き、
スタンディングオベイションが起こるはずだ。 高得点を期待して
いたからかもしれないが、会場の反応に羽生もがっかりしていた。
そして、羽生はこう言ったのだった。「皆さんに言っておきたい
ことがあるんです。僕ってそんなに強くはないんです」と。やはり
多くの応援を受けて頑張れる・・だが、失望されると辛い・・という。
この日の見せ場は、前半に予定していた4回転トーループからの
3連続ジャンプの最初が、パンクで2回転になったため、その後の
ジャンプの構成を変更してのリカバリー演技だった。
「今回の課題は何と言っても最初の4回転ループと4回転サルコウを
しっかり跳ぶことでした。それをクリアできていたから、『ちょっとは
NHK杯を楽しんでいいかな』と思って...。お客さんの前で、『ここまで
できるんだぞ』というのをやってもいいかなと思い、『やっていい?』と
確認するような気持ちでオーサーコーチの顔を見てから、そのあとの
つなぎのイーグルを抜いて、そのあとに予定していたトリプルアクセル+
3回転トーループを4回転トーループ+3回転トーループに変え、さらに
最後のトリプルアクセルからの連続ジャンプも1Euと3回転サルコウを
付ける3連続ジャンプにしたのだった。前半にアッとおもったが、あとの
リカバリーが素晴らしく、テレビの前で大拍手をしたものだが、会場は
ちょっと盛り上がりに欠けていたのが気にかかる。選手たちはフアンの
拍手こそがエネルギーの源なのだから。