40年ほど前のこと、神戸の街を歩いていたら街角に
机を置いた占い師がいた。彼は当時かなりの高齢で
いつも同じ場所に白い着物を着て座っていたのだった。
ある日、そこを通ったのは久しぶりのことだった。
通り過ぎようとしたら「ちょっと、あなた」と後ろから
呼ぶ声が聞こえるので振り向くと「言いにくいけど死相
が出てますよ」という。ドキッとした。本当に死ぬことを
考えていた時だったからだ。 プライドだけで生きている
ような私は、適当には生きられない。 当時辛いことが
あったのだろう(実は、いまは全然思い出せない)とおもう。
その頃から自分の手相を見るようになった。とくに手相の
本を買い求めたわけでもない。俗にいう手の中の線について
昔から聞いていただけのものだけど・・。
いい手相だった。これはいけると自分で判断した。下から
中指の先まで一本の線がしっかり走っている。おれはやれる!
と自己暗示をかけた。その後の人生は大波もあったがどんどん
山にも登れた。もう、手相を見るのを忘れていた私が起きぬけに
なんとなく手相を見た。すごい!!金運線が出ているぞ!!
と、それから三年間、宝くじを買っているが、あたらない。
いつもカラクジなのだ。「タ」が抜けている。くじ売場の
お姉ちゃんに狸じゃなくて狐の宝くじ頂戴っていったら
キョトンとしていた。タカラクジを買っているのに、いつも
カラクジでしょう? タが抜けているんだよな。だから「タ抜き」
じゃなく、狐が欲しいんだよな。と。やっとわかってくれた。
手相の中の金運線は、どんどんしわが増えてきて明確ではなく
なっていく。じっと手を見つめていても金は入ってこないな~。
「働けど働けど我が暮らし楽にならざる、じっと手をみる」
良い句だが、貧乏だね~~。