中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

前立腺がん・ホルモン間欠療法について

  前立腺がんは、50歳を超えた男性に起こりやすい「がん」です。最近はPSA
 検査によって発見が増えています。これまでも前立腺がんの治療方針などを何度も
 書いてきましたが、今回は主に「PSA再発」後の患者さんに役立つことを書きた
 いと思います。少し長い文章になるかと思いますが、最後までお付き合いください。
  最初に50歳を超えたら・・書きましたが、50歳未満の前立腺患者さんの場合
 は、私がここに書いた事柄はあてはまらないのでご承知おきください。
 50歳未満の前立腺がん患者さんで、悩みをお持ちの方は 無料がん相談電話まで。
 
◆ 前立腺がんの患者同士での情報交換の中で「ホルモン間欠療法」が一人歩きして
 いる感じがあります。
 実際に間欠療法をやっている人、やった人は日本中探してもそれほど沢山は
 いないでしょう。
 それなのに言葉だけが一人歩きするのは「間欠療法をやってみたい」という人が
 少なくないからだと思っています。それは、ホルモン療法を続けていると、やがて
 ホルモンが効かなくなって骨転移してしまう患者が決して少なくないからです。
  間欠療法によってホルモン療法の効果を長続きさせることができるのであれば、
 やりたいと考える患者がいるということです。国の医療費削減にも役立つでしょうし。
 しかし、間欠療法は、自分の命を賭けた勝負手・・・だという言い方もできますから、
 安易に考えないでください。
 私は、アメリカの泌尿器学会で発表された論文を手に入れ、自分の判断で完結療法
 を始めました。日本の泌尿器学会の医療指針には間欠療法は入っていませんから、
 日本の泌尿器医師が間欠療法を患者に勧めることはないでしょう。医師はがん治療に
 ついて、それぞれの部位の治療ガイドに沿った治療をしています。そういうことを
 しっかり頭に留め置いてください。

◆ PSA再発後放射線治療後にPSAが上昇してくることをPSA再発と言い、
 手術後にPSAが上がってきた場合には再発と言います)に、リュウープリン注射を
 うけ、その後にPSA値が下がってから注射を中断することを「間欠療法」と言います。
 しかし、放射線治療を受ける前にリュープリン注射を受けていたが,放射線治療後は
 ホルモン注射を受けていないというのは「間欠療法」とは言いませんので混合しないで
 ください、念のため。
 私は、日本ではあまり行われていないホルモンの間欠療法をこれまで4度実践しま
 した。因みに現在のPSA値は、2018年2月採血で0、088です。

 前立腺がんではホルモン療法はなくてはならない治療法でもあります 
 日本ではリュープリン注が多く使われていますが、ゾラデックス注もあります。
 どちらも同じようなものです。
 注射とカソデックスなどの錠剤を併用するのが一般的です 注射は3か月
タイプと、1か月タイプがあって、どちらでも構わないのです。私は1か月タイプです。
  問題は・・・ここからです
前立腺がんと診断された患者の中には、 病理診断の時点での誤診?と思われる
場合が決して少なくありません。

 PSA値が(3以上に)高くなって前立腺がんが疑われたら、念のために生研を
 勧められます。
 前立腺は、クルミぐらいの大きさです。真ん中に尿道が通っていますので、
針生研は尿道の左右に分けて、がんが発生しやす鵜外周部に沿うように針を
打ち込んで組織を採ります。
 私の場合は、2005年にオーストラリアで生研を受けましたでした。因みに
豪州は医療先進国なのです。しかし、あちらはあまり入院をさせない国なので、
病院まで自分で運転して行って、帰りも運転したのですが・・・12本の生研で
出血もあり、痛かったですね~~。
 現在は日本でも針生研は12本が普通になっているようです。
 帰国してみんな(一緒に入院した患者たち)に訊くと、日本では8本から
10本の生研で一泊~2日の入院だと聞いて驚きました。
 針生検によって組織を採取し、がんの組織診断を行います。
 ここから「誤診」も生まれやすくなります。大切な部分ですから、しっかり読んで
おいて下さい。いい加減に読まないでください。 
 組織診断(病理診断)では、悪性度(世界的にはグリソンスコアという言い方を
します)を次のように表現します。
 高分化: G1、 グリーソンスコア 3+3=6
 中分化: G2、 グリーソンスコア 3+4 or 4+3=7
 低分化: G3、 グリーソンスコア 4+4=8以上
    自分のグリーソンスコアを正確に覚えておきましょう。そして生研が何本で
   左右のそれぞれ、いくつがん細胞が見つかったかということも把握しておき
 ましょう。
  3+3=6などの意味についてはあとで書きます。誤診と関係の関連の
 深い部分でもあります。
 進展度についてはA~Dとなっていて、
 限局がん :A、B、 局所浸潤 がん: C、 進行がん:Dと表記します。
 自分のがんの進展度も知っておきましょう。浸潤というのは、転移ではなく、
 近くの臓器に浸潤しているということで、治療が遅れれば骨に転移する
 可能性が大です。
 初めにも書いておきましたが前立腺がんの治療にはホルモン療法が欠か
 せません。 ホルモン注射と錠剤が併用されるの普通です。
 しかし私の場合は、悪性度の高いがんだったにも拘わらず錠剤のカデックスを
 服用しないように」と指導されました。 私の身体には副作用の 方が多いと告げ
 られました。
  私が前立腺がんと診断された時、すでに手術ができない状態になって
  いました。
  因みに、私の場合は、生研で12本の針を打ち、左側の6本のうち4本から、
    右側の6本のうち6本から「がん細胞」が検出され、病理検査の結果、すべて
    が悪性度(グリーソンスコア)は8でした。
  そして、「右葉被膜外」と「精嚢」に浸潤していました。あと半年遅かったら
  骨に転移し、辛い思いをしたのちに、数年後に命も失っていたことでしょう。

※ PSA再発をしてからの10年間で4度の間欠をしました。
  PSA検査は3か毎に行ってきました。
  PSAが0,3に下がったころに医師に間欠したいと申し出ましたが反対され
  ましたの医院へ行くのを止めました。
  しかし、 他の内科医でPSA検査を受けてチェックを怠りませんでした。
  PSA数値が4,0を超えたあたりで、泌尿器科医院へ行き「先生、再開
  します」というと、嫌な顔をしないで受け入れてくれました。
   その後は、0、3辺りまで下がると、「先生、来月から間欠しますが、検査
  には、3か月ごとに来ますから」というと了解してくださるようになったのです。
  こうしてこの医師と長い付き合いが続いています。
※ 以上の話をこれまで何度も書いています。それでも勘違いされる方が
  多いので、改めて書いています。
   間欠療法を実行している人は、まだわずかです。ですから100%安全とは
  言えません。
  ホルモン療法を続けていても効かなくなって骨に転移する人もいますし、間欠
  しながら継続したたほうが良いという私のような場合もあります。
  私はカソデックスを服用していないので良いのかもしれませんが、医師にも
  データーはないでしょう。なぜならば比較実験されてないからです。
※ 言えることは、PSA数値が高い水準で移行している方には、間欠療法はお勧め
  できません。
◆ 前立腺がんかどうかも怪しいような「前立腺がん」患者も多いのです。そういう
  がん患者?が ホルモン注射を打ち続けているという現実もあります。
  とんでもないことですが、そういう場合もあるのです。
 針生研で、1本だけがんが見つかったひと、そしてグリーソン値がだったという
 ような方は、「がん患者」と言ってよいものかどうか・・・・と、思われますが、いったん
 「がん」を告知された方は、ずっとがん患者だと信じているのも事実です。
 この程度の方は、治療をしないで経過観察でよいのではないかと、私は考えて
 います。
◆グリーソンスコア(悪性度)の数値の決め方はとても面倒です。
  前立腺の細胞はかなり熟練した病理でも見誤ることがあると言われるほどです。
  病理細胞を顕微鏡でみながら、世界共通のパターンを見て比較して決めるのです。
  詳しく知りたい方は、ぜひとも病理細胞の医学書を購入してご覧になってください。
  グリーソン分類では腫瘍細胞の浸潤パターンや構造異型のみに着目して前立腺癌の
  形態をパターン1-5の5段階に階層化するのです。
 前立腺癌の組織像の多様性を考慮して量的に最も優位なパターンとそれより劣勢
 パターンの数の合計をグリーソンスコアとして表現する方法である。
 グリーソンスコアが4+3=7の場合、パターン 4が優勢型、パターン3 3が従属型と
 なり、中分化腺癌の場合にもっともよく認められるスコアでもある。
  グリーソンスコアは1+1=2から5+5=10までの9段階となるが、針生研による診断では
 ほとんどの腺癌がグリーソンスコア 5-10の中に収まる(何故なら面積の小さい腺房と、
 HE染色のみで区分することは殆ど不可能だからです。
  ◆さきほども書いたように前立腺がん細胞の病理診断には熟練度がいるようです。
  ですから、時によっては判定に間違いが生じたり、グレーゾーンの細胞に1を加えたり
  する場合もあるのです。グレーゾーンの読み方によっては、3+2=かもという場合に
  3+3=6となったり、時によっては4+3=7となっても不思議ではありません。
  生研を何度もやりはしませんから、病理診断が持つ意味が大きくなります。
  事実、他の病気の場合に病理細胞のセカンドオピニオンで病名そのものが変わった
  こともありました。
   あと数年もすると、病理診断がAIに任されるかもしれません。病理診断に限って
  言えば、AI診断は頼りになるかもしれしれません。
    前立腺がんでないがん患者が多く存在するのも事実です。ですから、前立腺がん
  だと告知されても、決して慌てない、落胆しないで、医療の選択を誤らないようしま 
  しょう。
  医療の選択は医師に任せるのではなく、あなた自身で決めるべきです。
   最後にホルモンの間欠療法は、100%自己責任で行ってください。医師に相談
  しても賛成してくれる医師など多分・・日本では、ほとんどいないでしょうから。
   長~い文章を最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたが真剣に
  物事を考えているという証でもありますね。
◆ 最後にこんな事例も書いておきましょう。
  ホルモン療法をすると男性機能がダメになってしまいます。それならホルモン療法
  はやりたくないという人がしばしばいるのです。私はそういう希望を持っている
  患者と10名、実際に面談での相談をしました。普通は面談相談はしないのですが、
  是非にと頼まれてのことでした。その人たちに「命を賭けてまで女性と交わりたい
  のですか?」と聞きましたが、わざわざ出かけてくるほどの方ですから、みんな
  「女性と交われないのなら死んだ方がましだ」と、きっぱりと仰っていました。
  でも、結論から言いますと、骨転移して辛い思いをして逝ってしまった人がほとんど
  だったのです。  
 ◆前立腺がんの相談(無料)は
  078-771-2711まで・・・午後7時~9時までどうぞ。
  相談される方は、自分の状況を詳しく把握しておいてくださいね。