中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

がんと遺伝子の関係(4名が胃がんのわが家の家系から)

 高齢社会になって「がん患者」が増えてきた。
 人生50年と言われた時代には、がんで死ぬ人は多くはなかった。
 がんがどのようにして発生するのかという根本的なメカニズムに
 ついては、最新医学をもってしても明らかにはなっていない。
 有力な仮説として一般的になっているのは、何らかの原因によって
 DNAにミスが起こり、それが何度か重なることで「がん化」すると
 いう説である。
 人間には約60兆の細胞がある。その60兆個の細胞に等しく同じ
 遺伝子が組み込まれている。目に見えないほど小さなDNAの中に
 「核」という場所がありその核の中にDNAが折りたたまれている。
 折りたたまれたDNAをまっすぐに伸ばすと約1・8メートルもある。
 だから、60兆X1・8mというとんでもない数字のものを私たちは持って
 いるということだ。(ここでは遺伝子もDNAとして書いておく)
 核の中の遺伝子が出てきて(詳しい説明は難しくなるので簡単に書く)
 同じ細胞内にあるリボソームに運ばれ、タンパク質が作られる。
 すべての動物を含めてDNAには二つの役割がある。
 一つ目は、子孫を残すことであり、もう一つはタンパク質を作って
 生存を保ち続けることである。
 人間のタンパク質は約10万種あるといわれる(確定しているのは
 5万種ほど)それらのタンパク質は DNAに書かれている命令書に
 よって、リボソームで作られ、体中に運ばれる。
◆ 病気と言うものは、ほとんどはタンパク質に何らかの変化が起こった時に
 発生する。新薬研究でもタンパク質研究が盛んなのもそういう理由だからである。
 日々刻々とDNAの命令に従ってタンパク質を作る過程において、僅かのミスが
 起こりうる。命令されたタンパク質ではないものを作ってしまう可能性がある。
 細胞はタンパク質と大いに関係がある。
 細胞にはふつう細胞と核細胞とがある。核細胞の数は少ないのだが、核細胞が
 「がん化」したときには転移性を持つ「たちの悪いがん」になり、通常細胞が
 「がん化」したものは、原発部位では大きく成長するが転移性がないのでは
 ないかと、私は考えている。「がんもど」と言われるものは後者であって、がんでない
 のではなく、転移性がないがんだと考えると理解しやすいのではないか。
◆  さて、昨日私の叔父が胃がんのために亡くなった。
 11人兄弟姉妹(男6名)が10番目だった。
 長男である私の父は、シベリア抑留と言う過酷な場所から戦後4年を経て舞鶴
 に帰国した夜に舞鶴国立病院で胃がんの手術を受けたが間もなく亡くなった。
 (戦死扱いとなった)
 次男も胃がんだった。3男も胃がんになり、死の直前まで行ったが、体中の血液を
 すべて交換するほどの大手術の後、奇跡的な生還を果たし98歳まで生きた。
 長女は40歳で胃がんで亡くなった。私の育ての親だった。
 4男はビルマ戦線戦士(砲兵)5男はフイリピン海戦で戦死した。
 こうしてみると、11人中4人が胃がんだったことが分る。長女と戦死した二人を
 除けば、みんな80歳を遥かに超えるまで生存しているから長寿ともいえる。
◆ 遺伝子によるものかどうかは、現在の医学では解明されていない。
 遺伝によって起こす「がん」も5%程度は存在するが、他のがんには遺伝性
 は立証されていない。
◆ ただ、わが家は大酒のみの家計であることは確かだ。だから、私は40歳まで
 1滴も飲まなかったし、2次会にも付き合わなかった。
 酒だけなら問題ないかもしれないが、大酒を飲みタバコを吸っているとなると
 「がん」になる可能性は一挙にアップする。胃がんの場合は「塩辛い」もにが好きな
 人もなりやすい。
 大酒のみと喫煙は、胃がんだけではなく、肺がん、食道がん喉頭がん、大腸がん
 など多くのがんになりやすいのだ。
 だから、遺伝によってなるのではなくて、生活習慣によって「がん化」すると考える方が
 妥当である。
 それぞれが生活習慣を見直すことこそ肝要ではないだろうか。
◆「がん」は、その芽が芽生えてから、検査で見つか約1センチの大きさになるまでに
 数年~15年も要するものだ。だから、長生きしていれば「がん」が見つかる可能性が
 増えるというわけでもある。