中原武志のブログ

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2850km、感動のドライブ旅行(その4)

JPオーストラリア誌 1994年6月号掲載
2850km、感動のドライブ旅行(その4)
 
 一路オーストラリア最南西端のオーガスタまで車を走らせる。ルーウィン岬の端にCAPE LEEUWIN IN LIGHTHOUSEがある。この岬の名は、1622年にこの地を通過したオランダ船にちなんで名づけられた。石灰石で作られたこの灯台は、49メートルの高さがあり、螺旋階段を上がっていくのはかなりきつい。この岬の右側はインド洋であり、左側は南極海である。そして、ここは暖流と寒流が出会う海でもある。
 私は以前、アメリカのマイアミからキーウェストまでドライブしたことがある。マイアミから車で3時間半、地図で見ると、フロリダ半島の端から海の上を国道が走っているように見える。数多くの島が点在していて、その島々を42の橋で最終のキーウェスト島まで結んだアメリカ最南端のドライブウェーである。これらの橋の中にセブンマイルブリッジという橋がある。なんと、7マイル(10km)ものコンクリート橋が海の上に作られている。キーウェストに向かって右側がメキシコ湾、左が大西洋と名つけられているが、境界線はなく、そこには紺碧の海が広がっているだけなのに、「こっちがメキシコ湾でこっちが大西洋か」と感動してしまった。もちろんその美しさとともに感動したのである。その感動が忘れられなくて、その3ヵ月後にもう一度訪ねた。そしてまた今度3年振りに行こうとしている。
 オーガスタの灯台の上から、右側にインド洋、左に南極海が見える。やはりなんにも境界は無い。それなのに、インド洋と南極海かと感極まってしまう。
 象やライオンが住むアフリカ、とても美しい所だと人は言う。そのアフリカまでこの海は続いている。ここから南極大陸までなにもない南極海、この向こうに氷山が浮かび、ペンギンが戯れ、そして先日フリーマントルを出帆していった南極観測船「しらせ」が向かった昭和基地がそこにある。私の顔に吹き抜ける風は南極からのもの?と一人感慨にふける。どうして人はこのような時に感動をするのだろう。そこには未知の世界があるからなのか、それともとてつもない雄大さに心魅かれるからなのか。私たちは桟橋で釣りをした。車には日本から仕入れた釣り道具一式を積んである。釣りが2度目の家内が真っ先にアジを釣り上げ、それを友餌にして9匹のアジが釣れた。アジのお造りが夕食の食卓を飾ったのは言うまでもない。大変美味だった。
 翌日ペンバートンへと向かう。出発目前からの期待の一つだったカリーフォレストを見るためである。ペンバートンのトラベルセンターへ行き、地図を求め国立公園に指定されているカリーフォレストに入る。ドライブウェーがラウンドできるように作られていて一回り20分くらいで回って来られる。ここのカリー(ユーカリの一種)は200年以上を経ている大木が多い。しかし、屋久島の屋久杉のスケールの大きさにはとても及ばない。それにしてもマーガレットリバーからオーガスタ、ペンバートンへ通じる道は西オーストラリア一般の道路とかなり雰囲気が違っている。ここ西オーストラリアは道路の両側に農場や牧場が広がっていて見渡す限りというような景観が多い。しかし、ペンバートン周辺の道路は何百キロと両側が木のトンネルを走っているようだ。
 一路、家内憧れのデンマークへと向かう。デンマークはいいわよと皆にきかされていいるらしい。