中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

2850km、感動のドライブ旅行(その3)

JPオーストラリア誌  1994年5月号
2850km、感動のドライブ旅行(その3)
 
 私たちはマーガレットリバーに向かって走る。ワインの生産地として世界的に知られた地域なので、そこかしこにワイナリーが点在していて我々の興味をそそるが、全部のワイナリーへ入って試飲するだけの時間的余裕がないので、目についたワイナリーに入った。
 あまり大きくないが感じのよいワイナリーである。芸術家を思わせる雰囲気の男がカウンターの中でテイスティングに来ているオージーたちと楽しそうに話をしている。壁には画廊のようにたくさんのアクリル画が掛かっていてそれには値段がつけられていた。オーストラリアの風景画だが、なかなかの絵で私も欲しいなと思ったが、結構いい値段がつけられていたのであきらめる。
 オージー達が帰っていったので私たちはテイスティングをさせて頂く。いま一つ気に入らない。女性陣は買わずに帰ろうと言うが我々男性陣は気が弱く何も買わずには帰れない。今晩どうせ飲むんだからと一本買い求めることにした。
このワインがその夜の食卓で一躍評価が上がって「もっと沢山買えばよかったね」と悔やむことしきり。ワインは食卓の内容によって味が違うし選択も変わる。テイスティングのような場で味がわかるようになるにはまだまだ修行が足りないことを痛感した。
 マーガレットリバーの町は小さな田舎街だ。と言っても、日本の田舎街とは雰囲気が違うのだがうまく言えない。スーバーで買い物をして自分たちで食事の用意をする。そのスーパーが日本に田舎と違ってアカ抜けのした立派なスーパーだった。
 翌日一番に目的のワイナリーへと向かう。宿泊しているところから車で数分の所に目指すケープ・メンテーレ・ワイナリーがある。私はここの赤ワインがとても気に入っている。以前、パースの友人が日本から送られてきた鰻を一緒に食べようと持って来てくださった。その時に4人で鰻を食べながら飲んだケープメンテーレの赤ワインの味が忘れられないでここまで来ている。
 オープンの時間にはまだ早すぎたようなので広い敷地の中を散歩する。田仲さんの奥さんは「こんな所で一年ほど働かせてもらったら、いっぺんに英語が上達するだろうね」と言いながら敷地内のブランコをこいでいる。ここはかなり大 きいワイナリーだ。整備されていて美しい。テイスティングは例によって分からない。私が強くここを推薦したのだが田仲氏の口には合わなかったようだ。これから先、長い旅行なので一本だけ買うことにする。
 マーガレットリバーの河口付近へと車を進める。しかし、一口に言って私はここマーガレットリバーには失望した。もちろんワイナリーを除いた部分にである。マーガレットリバーってだれが名付けたかは知らないが名前負けしてしまっている。だいたいがパースに住んでいると、大抵の景色には驚いたり、感動しなくなってしまうものらしい。
 マンモスケープに着いたが次のガイドの時間まで待たされる。それに入場料がヤリナップ鍾乳洞に比べてかなり高い。この鍾乳洞は名前の通り大きい、しかしそれだけのことでどこにでもある鍾乳洞だった。少しも感動しなかった。この鍾乳洞にこりて評判の高かったジュエルケーブに行く気が起こらなくなってしまった。
 もう鍾乳洞はヤリナップだけで満足してしまったようだ。