中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

私流生き方(142)子育ての上手になるために(その3)

(142)能動的な質問 子育ての上手になるために(その3)
 
 一冊の本を紹介しましょう。『親業』(トマス・ゴードン著、サイマ
ル出版)は、あなたがどれほど間違った子育てをしているかを教えてく
れるでしょう。しかも、ここに書かれているのは普通の子どもであって、
何らかの障害を持っている子どもはもっともっと子育てが難しいのです。
 しかし、この本を読んで自分の子育てがいかに間違っているかに気づ
いても、ここに書かれていることを実行することは困難でしょう。それ
は、本を読み、頭で理解できても、自分の価値観を変えない限り、その
人自身が変わらないからです。
アメリカでは、ゴードンさんたちが「母親教室」を開いています。日本
にもこのようなところが増えてきましたので、そのようなところで訓練
を受けられるのもよいでしょう。
L・D研究の現状日本ではL・Dについての研究は大変送れております。
 アメリカでは、一九七〇年にL・D研究が認知されているのに、日本では、一九九〇年にやっと文部省が調査研究を始めると発表したばかりで
すから、すでに二十年も遅れていることになります。
しかし、すでにかなりの人が研究を始めています。本書で参考引用させ
ていただいた東京芸術大学の上野一彦先生とか、武庫川女子大学の小関
康之先生らは、かなり以前からL・D研究を始め、また相談室などを持
っておられるので、問い合わせをされてはいかがでしょう。
 L・Dは学習障害と訳されておりますが、知恵遅れではありません
。知能は高いのに多動で落ち着きがなく、集団生活や授業などになじみ
にくい子どものことです。そして、L・D児の問題で忘れてはならない
ことは、L・D児の親の大多数が情緒障害に陥っているといわれている
ことなのです。ですから、自分の子どもがL・D児ではないかと心配さ
れる方は、親子で相談室に行かれることをおすすめいたします。
しかし、L・D研究者はまだほんの一握りしかいません。文部省のL・
D研究の立ち遅れが現場の先生方の対策の遅れともなっております。
現場の教師の間にL・D児への認識が浸透するまでには、あと十年か
ら二十年の歳月を必要とするでしょう。
裁かれる子どもたち子どもは、自分のしていることを「悪いこと」だと
知ったうえでするということはありません。悪いことだと分かってし
まっているという場合でも、それはまわりの大人たちが「悪い」と
言っているから悪いことなんだと思っているだけであって、子どもは
そのことに「問題」を感じていないのです。「問題」だと思うのは大人
の側なのです。
子どもは、何らかの欲求を満たすために行動しているだけであって、
正しくない行動をしようとしているのではないのです。子どもが欲求
を満たすためにやっていることが、親にとっては「悪い行動」になっ
てしまうだけなのです。大人は子どものしていることを「悪いこと」
と見る前に、なぜこういうことをするのだろうかという心のゆとりを
持って、子どもを見守ってほしいのです。