中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

やる気のある人に支援が集まる

 現在発売中の月刊「文芸春秋」(2月号)に建築家・安藤忠雄さんと
イタリア在住の作家・塩野七海さんの対談が掲載されている。
安藤さんたちが東日本大震災で親を失った子供たちを支援する目的で
立ち上げた「柿・桃育英会」について」書かれている。すでに寄付金が
30億円を超えるところまで来ているというからすごい。
 この対談の面白いところは、育英資金とかというものは、どうしても成績
優秀なものに与えられがちだけれど、柿・桃育英会では、そうならないように
しましょうよと言う話し合いである。
 漁師になりたい子どもたちにも漁船を買って訓練をしたらどうだろうかとか
というユニークな発想もある。
 対談しているお二人の経歴が面白いことをご存じだろうか。
安藤さんは、いまや世界にその名を轟かせている建築家であるが、彼は
高校卒なのだ。それなのに、今では東大の教授までしている。
 塩野さんも公的な育英資金に恵まれない中、自ら道を切り開き、イタリアに
わたり、現在の地位がある。(わからない人は、塩野七海(しおの ななみ)
で検索してみて下さい)
 お二人とも、恵まれた環境に育ったわけではない。努力して今の地位を
築きあげたのだ。
 だからこそ、育英会の資金は「やる気のある人には支援するが、やる気の
ない人には支援できない」という立場をとっている。
 やる気があるかないかは一つ一つ小さな努力を積み上げていく中で生まれて
くるものなのだ。親に甘やかされ、与えられてきた子供にはやる気のないものが
多い。昔、徳川家康は幼少のころ人質にとられた。人質を取った今川家は
家康をつぶそうとして「なんでも欲しがるものをすべて与えよ」と指示する。
その計略に気付いたのか気付かなかったのかは知らないが、家康は幼少
にして「欲しがらない」ことで、軟弱になることから免れた。
 私が長い間滞在した豪州では、子供に小遣い銭などを与えない。なにがしらの
労働をして初めて欲しい金が手に入るように、子供の時からしつけられて
いる。
 先日「電機業界の低迷」について書いたが、子供の時から、危機や困難に
ぶつかったことのない「ぼんぼん」には、今の世知辛い世を乗り切ることが
できないのではないか。そういう意味では、阪神大震災や東北大震災で多くの
苦難を味わった子供たちの中から、日本の未来を救う人物が登場するの
かもしれない。
 やる気がないと平然としている輩もいる。人の世というものは、そんなことを
言っていては生きていけない仕組みになっているのだ。人の世だけではない。
動物の世界も同じだ。さまざまな困難を乗り越えたものだけが、幸せを味わえる
のだと思う。まず、目の前の「小さな困難」を乗り越えることからそれははじまる。