中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

私流生き方(67)

 デパートの婦人服売り場で「カットソー」という 札がつけら
れた商品群があった。その中に、そうではない商品が3分の1ぐ
らいあったので、店員に「これは、カットソー」ではないのでは?」
と聴くと、妙な顔をされた。そりゃそうだろう、高齢のおじいさん
にそんなことを聞かれて??となったようだった。
 あちこちで「カットソー」なる商品が売られている。本当は
「カット・アンド・ソー」と言う。ニット生地をカットしてミシン
で縫った商品のことだ。本来、ニットは目を減らす「ヘラシ」をし
ながら型紙通りに編み上げ、それをリンキングという方法で縫い合
わせて仕上げる。
とても手間がかかって高価になるので、扁平なニット生地を編み、
カットしてミシンで縫うと安く仕上がり、商品価格も廉価となる。
したがって、カット・アンド・ソーとは、安物ニット服という意味
である。デパートに、ニット生地でないものまで「カットソー」と
して売られていたので、驚いたのだ。
 このように、今では売り場の店員でさえきちんと教育されてい
ない。店員と言うより、作っている方も、基本的なことを知らなく
なっている。 
 服のポケットについている「雨ぶた」は何のため? 雨ぶたが、
上から被らないで、
外に出したり、中に入れたり出来るようになっているのは何のため?
 服の袖口近くの「偽カウス」って何のため? 背広の襟について
いるボタン穴は何のため? バッジをつけるためじゃない。まあ、
こんなことも今では知らなくても済む時代だ。どこにでも座り込ん
で話せるし、汚しても大したことはない。たかだか千円か2千円の
服なのだから、という感覚なのだろうか。
 昔を懐かしんでいる内に、つい愚痴ばかりを書いたようだ。
 昭和48年、神戸市は「ファッション都市宣言」を行った。
当時は「株式会社・神戸市」と言われるほどに事業が順調で珍しい
黒字団体だった。
 神戸市経済局は、市民講座としての「ファッション大学」を開
設したが、ファッション現場の第一線級の人材が集まる盛大なも
のとなった。毎月Ⅰ回の講座だが、講師の選択がよく、広い視野
を持った講師群だった。学生は多分130名ほどだったと記憶し
ている。
 第1級の講師による都市計画論講座まであって、月に一度楽しい
ひと時だった。そこで多くの人材との出会いもあった。