この連載を始めるとき、さっさと10回程度で終わろうと思って
いたのですが、20回までは行きそうです。 奥が深くて、ここでやめたら
ダメだろうと思ってしまいます。
ここから、しっかり読んでくださるようにお願いします。
DNAに塩基配列として蓄えられている情報には、タンパク質の
アミノ酸配列を指定する情報、タンパク質をつくるために働く
何種類かのRNA(新しい言葉)のための情報など多くの情報が
含まれています。
DNAの解析が出来れば、何もかもが判明して、急速に解決できる
ことが増えるのだろうか。
分かればわかるほど、謎の部分が多くなって、一気解決には
ならないようだが、研究者たちにとっては謎が深いほどやりがいが
あるのかもしれない。
ゲノムがすべて解析され、新しい不思議も多くなった。
DNA配列すべてがタンパク質をつくるためのものではなかったのです。
DNAの領域はほんの一部であり、97%の塩基配列は、一見無駄なもので、
ジャンクDNAと言われている。 たぶん、進化の過程で重複や欠損が起こり、
用をなさなくなったものが残っているらしいというのである。
この判断が正しいかどうかは、今後の研究で明らかになって来るでしょう。
今わかっていることは、全ゲノムのわずか2%ほどがヒトの生存に関わったものらしい。
分かればわかるほどに、らしいということが多くなってきているのです。
これらの新しい発見から、ヒトの体内ではどれぐらいのタンパク質が
つくられるのかという新しい議論もある。
3万種類前後といういう人から6万種前後という研究者までいる。
なぜ、そのような幅が生まれるのか。人体では、これまでにもしばしば
思いもよらない方法で新たなたんぱく質が生まれるということが分かって
来ているからでもある。 核内のリゾソームで作られる以外にもタンパク質が
臨機応変に作られているということなのです。 以前に書いた免疫シリーズの
中で書いたことがありますが、そのことを発見したことが大手柄になった
ようですから、臨機応変で作られる部分については、まだまだ新たな研究
を待たなければならないでしょう。
次回は、遺伝子暗号の二重螺旋について書きましょう。