中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

タンパク質を考える(8)

 たんぱく質の分という言葉は、高校では習ったと思うのですが、

昨日書いた食べたものを分解してアミノ酸を得るだけではなく、

新しいタンパク質をつくるために古くなったタンパク質を分解して

捨てるという意味もあります。

 私たちの身体は絶えず外敵に襲われるので、絶えず防衛に備えて

います。 「免疫」の連載の時にもそのことに触れましたが、ヒトの

身体は外敵に備えて新しいタンパク質を作り出します。

 とても不思議なのは、アポトーシス(細胞の自殺)というような

システムを体が備えているということです。何のためのアポトーシス

かを巡っていろいろ論議があるようですが、ここでは単純に考えて

不要になったから捨てるシステムだと思っておきましょう。

 ここでおさらいをしましょう。たんぱく質はどこで作られるのでしょう。

そうですね、体の中にあるすべての細胞で作られるのです。 細胞を持って

いるのはヒトだけなのでしょうか。 細胞を持っている仲間は地球上で

三千万種以上いるのです。ヒトよりも先輩の細胞仲間が地球にあふれています。

 では、細胞の役目はタンパク質をつくるためだけなのでしょうか。あれも

これも考えるのは面倒ですからヒトだけに限って考えていきましょう。

 「細胞」の中では、さまざまな物質を、さまざまな場所へ輸送する必要が

あります。 細胞はそのためのインフラも持っています。 レールのような

構造のものがあって、その上を荷物を包んだ袋を担いで走るモータータンパク

質があるのです。

 しかもこのレールには上り専用と下り専用の2種類のモーターがあって、

1本のレールを二方向に使い分けることも出来るのです。レールもモーターも

タンパク質です。

 このような役割をするのはmRNA(メッセンジャアールエヌエー)です。

新型コロナのワクチンは従来のワクチン製造法の弱毒化ではなく、初めて

mRNAを使って作られたワクチンです。 先日ノーベル賞を受賞した二人に

よって考え出された製法でもあります。

 このワクチンの作り方は二人によってずっと以前に論文発表されていまし

たが、世界の科学者たちはこれを全面的に否定していたのです。

 その主な理由はmRNAには安定性がなくワクチン製造に不向きだという理由

でした。しかしmRNAは安定性がないために、ヒトの身体にいつまでも残らない

という大きな利点があったのです。それが二人が考えた大きな部分でもあります。

 コロナウイルスもタンパク質だということをお忘れなく。