中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

医療ミス・このニュースから、なにを学び取るか?

 まずニュースをそのまま載せます。なにが問題なのかを

考えてみることは決して無駄ではないと思います。

『京大病院によると、患者は成人男性。造影剤を用いたコンピューター

断層撮影(CT)の検査を行う際、急性腎不全となるリスクがあった。

入院患者の場合は腎保護用の生理食塩水を検査前に6時間点滴する必要が

あったが、検査までの時間が十分に取れなかったため、代替策として外来

患者向けの炭酸水素ナトリウムを用いたという。

さらに、本来は濃度1・26%の炭酸水素ナトリウム注射液を投与すべき

だったが、成分は同じながら、商品名の異なる濃度8・4%の製剤を誤投与

してしまったという。 患者は、炭酸水素ナトリウムの点滴開始直後から

血管の痛みや顔面のほてり、首のしびれといった症状があり、「医師を

呼んでほしい」と訴えたが、看護師や医師は造影剤によるアレルギー反応の

有無に気を取られ、誤った処方に気づかないまま投与を継続したという。

  その後、患者は心停止となり、蘇生処置で心拍は再開したものの、心臓

マッサージに伴う胸骨の圧迫が要因とみられる肺からの出血が止まらなく

なった。止血術などの対応を取ったが、患者の内服薬に抗凝固薬が含まれて

いることに気づくのが遅れたこともあり、出血を止められず死亡させて

しまったという。死因は出血性ショックによる多臓器不全だった。

病院は、患者の年齢、医療事故の発生時期について、遺族の強い希望で

明らかにできないとしている。
 宮本享病院長は「京大病院の治療で良くなることを望んでおられた患者

さんご本人、そしてご家族には、薬剤の誤った処方による死亡という、期待

を裏切るような結果となったことは誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げる。

関係者だけでなく、病院職員の一人一人が自分たちのこととして受け止め、

再発防止に努めていく」とのコメントを出した。』

 ニュースは以上です。単なるミスではなく複合的なミスというのが

大問題です。どうして何度もミスを重ねたのか? いつも書いている

ように医師は幅の狭い予測などに惑わされやすい。同じ成分だからと

濃度の確認もしなかったとい初歩的ミス、患者が異常を訴えているのに

造影剤によるアレルギーだと思い込んだミス。これが一番陥りやすい

ミスなのだ。思い込みによる誤診は毎日、全国で起こっているといっても

言い過ぎではない。そして、ワーファリンなどの抗凝固薬が処方されて

いることにも気付かなかったミス。心臓マッサージでの蘇生術で出血

させたミス。慌てたのだろうが、骨が折れるほどの蘇生術を受けた患者

がかわいそうに思える。言い方が適当でないかも知れないが、患者の

立場からみれば、殺されたみたいなものだ。これは、いったいだれの責任

なのか? 確認を怠った責任は重い。なんどもミスを重ねた責任は重い。