読書するには時間がいる・・と言う人が多い。でも時間なんてものは、
その気になればいくらでも作れる。 40歳代の、夜もろくに眠れぬほどに
忙しかったころにでも、かなりの本を読んだ。このころに最もよく読んだのは
司馬遼太郎さんの小説、エッセイ、対談だった。 私の身体の中のかなりの
部分が司馬さんによって作られたのではないかと、自分では思っているほどの
感化を受けた。私の師匠は司馬遼太郎さんですといえるほどだ。
ここ数年は村上春樹さんの本など、話題になっている著者の本はほとんど
読んでしまって、読みたいと思える本がなくなってきたので、書棚にある司馬
さんの本をまたまた・・読み返している。 「街道をゆく」が、以前に読んだ頃よりも
今の方が、なおよく頭に染み込んでくる。わたしに受け止める力がそれだけ
備わったのだろうと思っている。 同じ本を人生の中で数度読むと、その度ごとに
味わい方も違ってくるものだ。
いくら勧めても本を読まなかった教え子(44歳になる)が先日の会合の時
「勧めてもらった雨月物語を読みましたよ。面白かったです!」と、言ってくれた
のは本当にうれしかった。 読めば読むほど「読書力」がついてきて、なおさら
本が楽しく読めるようになる。 因みにわたしは司馬さんが亡くなられてから
読み、その中に登場する人たちによって書かれた街道をゆくを読み進めている。
例えば今は⑳「中国・蜀と雲南の道」を読んでいる。なんとも面白いのだ。