この連載は、ぜひ(1)から順におよみください。
医学レベルを考えるうえで、最も注目すべきことは医学部教育だと
おもうのです。
なんでもアメリカが優れているというつまりは、サラサラありませんが、
医学教育については、かなりの差が見られます。
アメリカでは、文系、理系を問わず、4年制大学を卒業しないと
医学部に入学することもできません。
この差が、医師の様々な能力に大きくかかわっているのではないかと
思います。
日本の医師には、コミュニケーションの苦手な人が結構いるのです。
医師という職業で、コミュニケーションが苦手というのは、それだけで
失格・・とは言えないまでも、適格ではないと思っています。
医学部への入学までのプロセスを重大にとらえているのが、アメリカ
なのです。
英国連邦の国々では少し違ってきます。
日本の場合と同じように偏差値の高い生徒が医学部入学を果たします。
しかし、ここからが日本とは、全くと言ってよいほどの違いが現れます。
それは驚くほど違うのです。
入学わずか1週間後には、兎の解剖を少人数のグループ別に行われます。
日本の場合は、2年間は教養学問に充てられるのと違いますね。
入学半年後には、死体置き場であるプールから死体を引き上げてきて、
午前中の授業で解剖学を生徒たちが実地で行います。
この授業を受けた後で、昼食が食べられる生徒は半数もいないそうです。
こういう授業を受けている間に、2学期で約半数の生徒が医学部から
去っていくのです。
卒業できるのは約4分の1か、5分の1の生徒だそうです。
日本では、入学時の90%が卒業しているようですから、大きな違いを
感じますね。