中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

第2の人生(29)「すし・石垣さんとの出会い」

 プロゴルファーのニック・オハーンとの出会いについて書いたので、時系列からは
離れるが、ついでに「すし・石垣』さんについて書いておこう。
次の、観戦記は当時のものであるが、石垣さんは2週前の日本でのツアーで3位と
大健闘したのでゴルフフアンならよくご存じの名前だと思う。
あのひょうきんな人柄は多くの人たちに愛されている。
この観戦記は、JA・NEWS紙から依頼されて、取材記者、カメラマンの二つの
資格を持って参加したので、ここには書けない多くの裏話もある。
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PGA・男子ヨーロッパツアー「ジョニーウオーカー・クラシック」観戦記
 
 2月14日―16日まで、レイクキャリナップカントリークラブで、ヨーロッパPGAツアー「ジョニーウオーカー・クラシック」が開催された。
 この大会で注目されたことは、昨年のこの大会で2位に8打差の-14で優勝したグーセンが再び優勝ができるか、それとも飛ぶ鳥を落す勢いのエルスが勝つかに最も大きな関心が集まっていた。
エルスは、1月にハワイで行われたPGAツアーのオープニング戦で、昨年のPGAツアーの優勝者のみ参加できる「メルセデス・チャンピオンシップ」で、PGAツアー新記録になる31アンダーというとてつもない記録で優勝し1億2千万円を稼ぎ、その翌週の「ソニー・オープン」でも優勝をさらい、更に8千6百万円を上積みした。エルスは昨年の後半から好調を維持していて、昨年の最後の10試合平均ストロークが65という驚異的な成績を残していたが、今年に入ってもその好調ぶりを持続し、開幕2連勝をやってのけたのである。
ハワイでのPGAツアーで2連勝したあと、今度はヨーロッパツアーに転戦したが「カルテックスシンガポール・マスターズ」では開幕3連勝はならず2位に甘んじた。翌週メルボルンで開かれた「ハイネケン・クラシック」で今期ヨーロッパツアー初優勝をさらい今年に入って四戦三勝という好調さで「ジョニーウオーカー・クラシック」を迎えた。
エルスは「ハイネケン・クラシック」の翌週は、R・アレンビー、N・ファルド、ジャスティン・ローズと共にバリ島の環境局に招待され、テロ以後のバリ島の安全宣言に寄与する4人だけのマッチプレーを行っている。その間リラックスすることも怠らず充分に楽しんでこの大会に備えていたのである。
今大会では、このほか若手のホープであるスペインのガルシアや、ニュージランドのスメイル、イギリスのJ・ローズの活躍も期待されていた。
また、大会の前週、シドニーで開催された「ANZチャンピオンシップ」に優勝したケーシー〔英〕や、この試合で2位に食い込み上昇を期待される地元のN・オハーン(ニックは、私が92年から94年まで2年間パブリック施設で日本語を教えた頃の生徒である。93年に美人のアラーナと結婚したが、それから5年間ほどは彼女が生活費を支えていたという内助の功の豪州版でもある。98年からはニックが毎年3千万円以上を稼ぎ出している)や、やはり地元のS・レイニー、ワナルーGC出身でアマチュアのワールドチャンピオンになったこともある若手のK・フェルトンも注目さていた。もちろん豪州の強豪であるR・アレンビー、C・パリーなどの優勝争いも期待されていた。日本からはスシ・イシガキが、ただ一人参加した。
 
そういう中で開催された大会だったが、第1日目にエルスが-8で、いきなりトップに立ち、グーセンはイーブンと大きく出遅れてしまった。第2日目にエルスは-15と大きくスコアを伸ばし、アレンビーが-11で期待を持たせる。この日グーセンは-7と伸ばして来た。大会第3日目エルスはますます快調で-23と伸ばし、グーセンも-13と調子を上げてきたが大きく10打差に広がった。この日C・スペンスが63コースレコードを作っている。最終日は優勝争いではなく2位争いが熾烈になった。13番を終って2打差に九人がつけるという大混戦になってギャラリーを楽しませた。地元のレイニーが-19と追い上げたが、エルスはスコアを-29として2位に10打差をつけて楽々と優勝をさらってしまった。なお、エルスの-29はヨーロッパツアーの、これまでの-27の記録を破る新記録で、1月に新記録を塗り替えたPGA記録とともに、世界の2大ツアーの記録保持者ともなった。
 
これで今年に入ってエルスは開幕から5戦4勝、2位が一度という破竹の勢いである。ちょうど同じ週にアメリカのカリフォルニアで開催されたPGA「ビューイックインビテーション」に昨年暮れ左膝の手術を終えてからリハビリを続けていたタイガー・ウッズが登場し、いきなり復帰第1戦に優勝してその大物実力振りを見せつけた。
タイガーの居ない間に2勝を上げて突っ走るエルスが、ここ数年間賞金ランキング第1位を保っているタイガー・ウッズを破って賞金王に輝くかどうかということも今年の話題である。タイガー・ウッズは、賞金王のことを聞かれ「まだツアーは終ったわけではない」と闘志を新たにしているようだ。
 
今回の大会観戦して感じたことを書いてみよう。まず、最初2日間の予選の組み合わせ及びスタート時間は、大会主催者が勝手に決めることができる。エルスの初日は82010ティースタートだった。ヤフーの記事などには「エルスは、前半じっと我慢していたが後半になって爆発した」などと書かれているがこれは誤りで、10番からのスタートで18番までに-7を稼ぎ、午後になってからの1ティーから9番までに-1しか取れていないのである。インが苦手というのではなく午後に風が強まったことが原因だろう。それに反し、グーセンやニックがスタートしたのは、午後1250だった。風の影響を考えればかなりのハンデであったことだろう。日本選手のスタートは最終の1340分であった。
翌日第2日目は、グーセン810、エルスは1300だったが、この日は午後になっても風がなく、そう意味でもエルスは幸運に恵まれている。もちろん、そんな幸運がなくても今の実力から考えればエルスが勝ったであろう事は明白である。
 
期待されたグーセン-17と追い上げて4位タイとなったがK・フェルトンは予選落ちし、N・オハーンは最終日にやっと追い上げたが-7に終った。
若手のホープのローズとスメイルはともに-174位タイになったのは将来が楽しみである。PGAでも大活躍中のガルシアは、火曜日にオージーフットボールで遊んでいて腱鞘を痛めたのが原因か二日間でイーブンパーながら予選落ちしてしまった。
 
それにしても昨年のこの大会は、アンダーパーが僅かしか居なくて、-14グーセン8打差をつけて優勝したことを考えると、今年はエルスの場合は特別としてもスコアの伸びた大会でもあった。コース設定が特に易しかったというわけではないだろう。あえて言うなれば昨年よりグリーンが昨年よりは遅かったらしい。それにしても「プロの世界は凄い!!」と感じたものだ。とにかく、あのド迫力は、テレビ観戦では分からないし、実際に見なければ距離感だって実感が掴めないだろう。
 
たった一人、アジアンツアーの28人の代表として参戦した、「すし・石垣」選手は予選落ちしてしまった。エルスなど有名選手だけに陽が当たりがちのゴルフ界にあって、その陰には、ほとんど収入のない中で戦っている多くの選手達が居ることに注目したい。日本などではアメリカPGAツアーばかりの報道が目立ち、PGAヨーロッパツアーさえも疎かにされているが、アジアンツアーに到っては、ほとんど知られていない。来月号ではアジアツアーで戦っている選手達に触れてみたい。
今大会では、アジアンツアーで戦っている選手たちの中から9位タイのCkamps選手、25位タイのCWi選手などが出たことが嬉しい。
昨年に較べて天候、気温にも恵まれた大会でもあったが、最終日、試合が終ると同時に天候が怪しくなり、表彰式は雷鳴の轟く中で行われ、エルスは「来年もこの大会に参加します」と約束していた。私にとっても大変興奮した4日間であった。
すし・石垣選手は、2日目が終わった後、我が家に来て下さって夕食をともにしながら、アジアンツアーを転戦しての面白い話をたくさん聴かせてくださった。
インド、タイ、シンガポール、中国、など国によって違う習慣や戸惑い、交通手段
など興味深い話が多かった。いずれ日本でも大活躍されるだろうと思う。
 
順位
選手名
1日目
2日目
3日目
最終日
トータル
スコア
1
E.エルス〔南ア〕
64
65
64
66
259
-29
2
S.レーニー(豪州)
68
67
68
66
269
-19
 
A.ストルツ〔豪州〕」
68
68
67
66
269
-19 
4
J.ローズ〔英国〕
68
69
69
65
271
-18
 
R.アレンビー〔豪州〕
69
64
72
66
271
-18 
 
R.グーセン〔南ア〕
72
65
66
68
271
-17 
 
D.スメイル〔ニュージランド〕
68
71
64
68
271
-17 
 
J-F.レムジー〔フランス〕
68
67
67
69
271
-17
9
N.ファスト(スエーデン)
74
65
66
67
272
-17
 
C.カンプス〔南ア〕
71
67
64
70
272
-17