中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

病理診断にAI(人工知能)利用に大賛成(2)

人工知能は、信じられないほどの進化を遂げているようだ。
やがて人間を超えるだろうというのまでは信じられないが、
蓄積した過去のデーターを、利用して読み解き、新たな道作りを
していく能力は人間を上回るかもしれない。
将棋とか囲碁などに、その強さが出ている。
たかが将棋とか、囲碁だとは考えないでいただきたい。
将棋とか囲碁は、並大抵の能力では勝てない世界なのだから。
 病理診断は、患者から採取した臓器片をメスで薄く切って、ロウで
固めて標本(3センチ×8センチのガラスに挟んだ)を作る。
その標本を顕微鏡でのぞき、細胞の形や広がりから病気の有無を
判断する。
こうして書くと簡単なように思えるだろうが、どれだけ難しいことなのかを、
一つの例を挙げて書いておこう。
 T大学病院で「胃がん」と告知された高齢の患者さんがいました。
患者さんの身内の方から、わたしに「TU先生に病理のセカンドオピニオン」を
お願いしてもらえないでしょうか…と問い合わせがあり、TU教授に問い合わ
せると、即座にお引き受けくださったので、告知を受けた大学病院から
TU教授へ「標本」を送っていただいた。
標本が到着した日に、TU教授は顕微鏡をのぞいた結果をお知らせくださった。
「この細胞は胃から採取されたものですが、胃がんの細胞ではありません。
食道がんの細胞が、胃に転移したものです。食道の大検査が必要です」
とのことだった。
このばあいは、TU教授からT大学病院に直接電話をしてくださり、T大学病院
も了解されたとこことでした。
食道と胃は隣同士の臓器なのだから・・・同じ「がん」でもいいのではと、思う
でしょが、治療方法が全く異なるのです。
この患者さんの場合は、食道検査の結果「がん」が見つかり、食道がん
胃に転移していたことも、改めて判明して、食道がんとしての治療を受ける
ことができました。
「がん」の場合は、本籍地の「がん」の治療を行うので、たとえば肝臓に転移
していても・・この場合は、食道がんの治療を行うことになるのです。
 それにしても、凄いとは思いませんか? 小さな標本をみただけで、食道がん
だと分かったという、その能力の高さに驚きませんか??
 (3へつづく)