中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

前立腺がん治療(連載- 4)

  前回までお読みくださって、医師が言おうとしていることと
 患者の受け止め方に違いがあるということをお分かりくださった
 でしょうか。
 実は、こういうことはとても多いのです。
 患者の方や、ご家族の方から相談を受けたときに、しっかり聞いて
 何度も質問をして、はじめて医師と患者の「ずれ」に気が付くのです。
 ですから、患者である方が、周囲のいろんな方に話していることが
 決して正しくない場合もあるのですね。
 そしてその原因は、医師のコミュニケーション術の不足だと言えるの
 です。医師はマニュアルに従って治療をしていきます。
 1+1=2ではないのですが、幅広い視野で患者と接しようとする医師は
 いまでは10%もいないのではないかと思うほど、コミュニケーションの
 下手な医師が多くなっています。
 それは大学教育にも起因しているのですが、医学部での文系授業を
 減らす傾向にありますから、今後ますます「患者に説明するのが下手な
 医師」が増え続けるだろうと思います。
  さて、前回まで書いた患者さんの場合を、整理してまいりましょう。
 PSAが増え続けているとはいえまだ5,7程度だと慌てる必要はないの
 ですが、どうして(カソデックスが癌のえさになるからやめましょう)といった
 のかが患者の話だけでは分かりません。
 しかし、事実カソデックス錠からザイテイガ錠に切り替えたことは確かな
 ことなのです。
 そのうえ「放射線の注射をすれば直るのだから心配いらない」と、患者が
 受け止めてしまうような発言をしたことも確かなことです。
 患者の勘違いだとしても、それは説明不足というものでしょう。
 (5に続く)