中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

あるシンポジウムで感じたこと

 先日神戸ポートアイランドで開催された「神戸医療産業都市一般公開」
 は、毎年のように好評であったらしい。
 協賛事業として開催されたシンポジウム「こんな病気知っとう?」にパネラー
 として私も参加した。
 体調がすぐれない中を参加したにもかかわらず期待外れなものになって
 残念に思っている。しかし期待外れと思っているのは私だけで、ほかの人
 たちは成功と思っているかもしれない。
 何が期待外れなのかというと、主題の「こんな病気知っとう?」をうまく掘り下げる
 ことができなかったからだ。
 臓器移植グループ、難病グループも参加していたのに、事前の打ち合わせが十分で
 なかったためにそれぞれが思い思い、ばらばら発表になった。
 事前の「パワポは3枚まで」という事務局からの連絡をまともに受けて準備したのは
 私だけだった。
 深い話ができる良い機会だったのに、つまらないと感じたのは、それぞれのグループが
 持っている問題点を深く掘り下げられなかった点にある。
 私は、「差別」を取り上げてもよいと思っていた。
 難病、臓器移植、がん・・は、国民の知識も意識も低いために、差別にもつながっている。
 国民の知識、意識を上げるためにはどうすればよいのか…をもっと考えるべきだった。
 ある難病患者の一生を取り上げるのもよいが、そんな例は臓器移植にも、がん患者にも
 いっぱいある。事務局の事前の「まとめ」が不十分だった結果が、せっかくの機会を
 つまらないものとした。
 生物科学者も参加したが、その発言に失望した。
 DNAを調べればわかるという言葉に現実味を感じないからだ。
 がん患者のDNAを100万円かけて調べて、がんになった要素を調べることが
 できても、その癌を治療することもできないし、今この時、命を戦っているがん患者には、
 そんな夢もの語りなどは救いにも力にもならない。
 研究者はいつも「夢」を語る。その夢をマスコミは大きく取り上げる。
 しかし、現実ははるかに遅れていて、辛い現実と向き合っている患者の力には
 なれないものだ。そこのところを言わないで、夢が今にも実現しそうなことを仰る。
 シンポジウムは、しっかりとしたコンセプトを持ってやるべきだったと思うし、今回の
 ようなあいまいなシンポジウムには今後参加したくない。
 研究者と患者との距離を感じたシンポでもあったし、がんも、難病も、臓器移植も、
 それぞれの問題点をまったく実感していない人が事務局をやるのもどうかと感じた
 次第である。