中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

抗がん剤は(基本的に)がんを治す薬ではない

 抗がん剤を受けなければならない立場の人の身になって
考えると辛いものがある。
 がんが見つかった部位やステージによって抗がん剤の使い方
も違ってくるが、インフォームドコンセントを受ける際に患者側の
人たちはほとんど抗がん剤の知識がないのが普通である。
 なにがなんでも抗がん剤は駄目だと思っている人もいれば、
抗がん剤で自分のがんを治そうと考える人もいる。
 はっきり言って、そのどちらも間違いである。
抗がん剤が比較的よく効くがんもあれば、ステージによっては
使った方が命を長らえることができる場合もあるのだから、なにが
なんでも抗がん剤は駄目だということでもない。
 しかし、抗がん剤でがんを治そうと思うのも間違いだといえる。
そもそも、がんには「治癒」と言う言葉さえあまり使えない。
いろんな病気には「治癒」という言葉が成り立つことが多いが、
がんの場合は、ほとんどの場合、治癒とは言い切れないものだ。
手術でがんの部位を切り取っても、すでにどこかに飛んでいて、
いつ再発するか、転移が現れるか分らないからである。
 だからこそ5年生存率などと言う、がん患者にとっては嬉しくもない
言葉が存在する。
 手術してから5年生存したから「治癒」などとはとても言えないのだ。
5年半目に転移が見つかったなどと言うケースはいっぱいある。
 でも医師の間では、5年生存率と言う言葉は、患者に対する説明の
中でよく使われる。死と患者の医師の意識の違いのようなものを感じる
時でもある。
 「手術は成功しました」と言いながら、念のために抗がん剤をやりましょう
というのは、すでにどこかに飛んでいるかもしれないがん細胞を叩いて
おきましょうということであり、目に見えない敵に対して、むやみに射撃
しているようなものでもある。
 がん細胞だけ叩くのではなく、正常細胞まで叩くというのが抗がん剤
なのだ。分子標的剤と言うから、がん細胞だけに効果があるように患者は
思ってしまう。そもそも薬と言うものは、すべて分子標的剤だと考えれば
分り安い。
抗がん剤は「毒」だといわれるから「分子標的剤」などという言葉を作り
だして患者を欺いているのだと思う。
 抗がん剤は、「使ってよいがん」「使うと命がのぶる可能性があるがんと時期」
「使ってはいけないがんと時期」「使っていても、早くやめた方が良い」場合
など。使い方、止め方も患者側が心得ておかなければならない。
 多くの医師は、ほとんどの医師は、どこまでも攻撃的な治療をするものなのだ。
しかし患者は自分の命を考え、せっかく生まれてきたこの命を、最期まで大切に
、少しでも「人間らしく生きるために」どうすればよいのかを考えなければならない。
 赤ちゃんが母親におねだりをするように、医師に向かって「ほかになんか治療方法は
有りませんか」などと、決して言わないことである。
患者は、もっと自分のことをしっかり把握して、生き方を考えなけれなならないのでは
ないだろうか。