差支えがあるといけないので会社名はかけないが、ある定期検査のために
わが家を訪れた23歳の若ものの話です。
ある質問をしてみた。彼の様子を見ていて、その方面の知識がないことが
わかる。定められた方法である検査だけをするのが彼の与えられた仕事の
ようだ。あるいはそれにプラスした営業もあったかもしれない。
年寄りの悪い癖で、彼に意見をしてみた。
彼は素直に聞いている。今どき珍しいほど従順に聞いている。
調子に乗っていろいろと語りかける。かれはしっかり聞いていて相槌を打って
来る。
話を聞いているうちに郷土まで同じ地域だとわかってきたところから、彼も
自分の考え方を言うようになってきた。
手ごたえがあって、話していて楽しかった。
彼の祖父と私が近い年齢だったし、郷里も近かったということだけでなく、私の
若いころのように「年寄りの話をよく聴く」タイプの青年だった。
「亀の甲より歳の功」が理解できない若者が多くなっている。
年寄りを敬うという気風が日本から消えつつある。その原因は年寄り(高齢者)
にも原因があると思う。だが、年寄りを大事にする若者は、きっと報われることが
あると思っている。
経験しなければ分らないことが世の中にはいっぱいある。本を読んでもわからない
こともいっぱいある。年寄りの話にしっかり耳を傾けることができれば、その人は
必ず報われるはずなのだ。
彼のマナーもよかった。きっと家庭でのしつけもよかったに違いないと思った。