中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

感動的な美術展から考えること

 3月30日(土)~31日(日)まで、兵庫県民会館・大展示室で
第5回・日本がん楽会美術展が開催された。
 140点以上の、書、絵画、工芸、手芸作品が広い会場を埋めた。
 
 この美術展に初めて訪れた人は一様にこう言う。「こんなにすごい
美術展だとは、思ってもいなかった」「本格的な美術展なのですね。」と。
多くの人たちは、小さな、そして幼稚な作品展だと思い込んでいるよう
なのだ。そして感動を胸一杯に受けとめましたと会場を去る。
 
 そもそも、多くの人は「身体障害者」のことを可哀そうな人、気の毒な人
などと思いこんでいる。
乙武洋匡が書いた「五体不満足」や「自分を愛する力」を読めばわかるが、
身体障害者が可哀そうと思いこむ人の方が間違っているのだ。
 私は若いころに重度の身体障害者と友人になっていて、そのことを強く
感じたものだった。
 
 「がん患者」の場合にも、気の毒な人、不幸な人、といったイメージを持って
いる人が多いようだ。二人に一人ががん患者になると言われている時代なのに
自分とは関係ない人々と思ってしまっているらしい。
 だから、日本がん楽会・美術展と聞いただけで、可哀そうな人たちの、
気の毒な美術展と勘違いしてしまうのかもしれない。
 この美術展には、患者、家族、遺族、医療者、支援者も踏むまれている
総合美術展である。作品の質も高い。そしてがん患者の美術展にありがちな
かなしい物語も毎年のようにある。美術展を間近に控えて亡くなる方もいる。
 しかし、何よりも「死」というものと向き合っている方々の作品には迫力があり、
精神が宿っている。
 支援者で毎回出展している人が言う。「私はいろんな美術展に出展しているが、
この美術展はまた格別だと思う。他の美術展にはない充実感を感じる」と。
 来場された方々が、みんなと言ってよいほど感動される美術展なのに、世には
ほとんど知られていない。マスコミも大きく取り上げることが少ない。
 来年は、3月29日~30日に開催される。もっと多くの人たちに観ていただき
たいものだと願っている。