ことが大問題になっていた。
「可能性がある」と答えたので、いったん注入をしたために事故が大きくなった
のではないかと騒がれた。斑目委員長は「そんなことを言った覚えはない。
ゼロではない答えただけだ」と言い、学者がそのような言い方をするものだと
言う。
貴重な国会の場で野党から質問攻めに合う中で水掛け論に時間を費やし
てきた。復興への議論がまったくされず、いたずらに時間を浪費した。
これらの騒ぎ方は、当時いかに政権内がパニック状態を起こしていたかを
今日になって、海水注入の中断はなかったことが判明した。現場の吉田
所長の独断で、海水注入は続けられていたのだった。
これらドラマ風の一連の動きは、何度も紹介するが、柳田邦男著
「恐怖の2時間18分」【文春文庫】の内容そっくりだ。
柳田さんは「事故調査」「事実の核心」「事実の素顔」「事実の考え方」
「事実の読み方」「航空機事故」「事実からの発想」「事実を見る眼」
「死角・巨大事故の現場」など多くの事故から学ぶための本を書いておられる。
また、「いのち」に関わる著書も多い。
私は自分なりに、これまでの人生の中で、司馬遼太郎さんと柳田邦男さん
の著書から多くの影響を受けたと思っている。