《米はオーストラリア産》
オーストラリア産のコメ(水稲)でまずまず満足していたのだったが。帰国後にうまいコメを知ってから、コメントできなくなった。日本でどのようなコメを食べているかで味覚が変わる。
《パン類はお粗末》
ヨーロッパ各地を旅すれば、パンの味がよくわかる。国境を越えただけでパンの味が違ってくる。断然おいしいパンは、フランスだった。フランスに入ったとたんにうまいパンが食べられる。ヨーロッパ諸国は概してパンの味はまずまずなのだが、その中でフランスのパンが旨いと感じるのだから。
オーストラリアで残念なのは、パンがまずいと言うことだ。けれども、その感じ方は人それぞれで、わたしたちが神戸で、あまりにもおいしいパンを食べていたからだとも思える。なんと言っても神戸は日本一パンのおいしい街である。
豪州のパンがなぜ不味いのか。昔からなのか。調べて分かったことがある。昔は美味かったというのだ。では、現在はなぜ不味いのか。 労働組合が強く、小麦粉をじっくり発酵させられないので、不味いのだそうだ。 この話は、日本人のパン職人から聞いた。彼が、日本で扱っていた小麦粉の量の十倍をいま扱っていると言っていた。 言い換えれば、労働時間短縮で促成発酵させるのでおいしいパンにはならないそうだ。
キングスパークの裏側の通りに、フランス人経営のパン店を見つけ、毎週一度そこまで買いに行くことで、パンへの不満は消えたのだった。
《ケーキなどはおいしいか》
多くの人たちに教えてもらって、あっちこっちに買いに行った。結果的には80%は期待外れだった。ところが20%は、日本で味わえない素晴らしいものもあった。オーストラリアのチョコレート消費量は世界有数らしい。それだけにチョコレートを扱ったケーキの中に優れものが多い。
特にお気に入りだったのは、特級の生姜と上等のチョコレートを合わせた「チョコ生姜」だった。似たようなものは他にもあるが、お気に入りだったのは、その店のものだけだった。
もう一つ、上手に表現できないのだが(日本では見かけないために)長さが30センチ以上、高さが15センチほどのケーキだった。リンゴが入っていて、重ね焼きになっている。丈夫な厚紙の箱に入れられている。月に二度、予約をしておいて取りに行く。大きなケーキなので、たっぷり楽しめる。
この手のケーキが日本では見当たらない。あったら絶対に買うのだけれど。
アメリカもそうだが、欧米人は甘いものが好きだ。ニューヨークのど真ん中の超有名なホテルのチーズケーキなどは、日本のものに比べて体積が三倍以上あり、甘すぎて食べられなかった。
ここで書いた20%のケーキは、甘さ控えめであった。
《外食習慣について》
最初に書いておきたいのは、パースでは外食という習慣は、以前は少なかったそうだ。ヨットの「アメリカズカップ」が、パースの沖合で行われた1987年以降に外食の習慣が増えたと言われている。
まず、ヨットのアメリカズカップというものの歴史を知らないと、その熱狂も理解できないだろう。
今から167年以前に始まったレースである。 「近代オリンピック」よりも45年早く、「サッカーのワールドカップ」よりも79年早く「ゴルフの全英オープン」より9年早くから始まったという、世界で最も早くから始まった世界競技である。
1983年にオーストラリア艇に敗れるまで、132年間もアメリカ艇が優勝杯を保持していた。アメリカ艇が初めて敗れたのだった。西豪州のクラブの艇だったので、4年後の大会は、パース沖合で開催された。
海沿いを車で走ればわかることだが、沿岸はわずか一キロほどを除けば、自然地帯のままになっている。
大会開催のためのホテル建設などのため、スカボロの一部分だけが自然地帯ではない。 国を挙げての大騒ぎだったのだろう。 この大会では、アメリカ艇が優勝している。
なお、2020年も大会が行われていて、これを書いていた時点でイギリス艇がトップ、二位にアメリカ艇、三位にニュージーランド艇、4位に日本艇(ソフトバンク)が続いている。
世界中から観客が集まるだろうと、ホテル建設、レストラン建設も行われたよう。この時をきっかけとなって、外食ブームになったとパースの人たちから聞いた。