むかしむかし、祖父が口癖のように言っていたのが
「歳はとりたくないもんだ」だった。
このつぶやきを聞いていた少年の私は・・そりゃそうだろうな
と言う程度の気持ちで聞き流していた。馬耳東風に近いが、
言葉だけは覚えていた。それが、わが身に起こるなんてことは
考えてもいなかった。70歳のころにも、まだ祖父のつぶやきの
意味が理解できていなかった。
人生なんてそんなもののようだ。「生老病死」とは、この世では
避けては通れない苦しみのことだそうだ。生きることも苦しみならば
老いることも苦しみであり、病気になることも、死ぬことも苦しみだと。
そういえば、私の84年間はそうだったな~生きるのも苦しかったし、
病も苦しみだったし今は老いて苦しい。だが死ぬことを待ち望んでも
自分では決められない・・と言う苦しみがある。 死ぬことなんて
怖くない、とうに覚悟はできている・・なんていうのは嘘だとおもう。
だれもが、「その時」になれば動揺してしまうようなのだ。歳とともに
あっちこっち・・に思いもしなかったことが起きる。そういうことが
あるんだ!!と言うことだけ・・知っておいてくださいね。高齢の
ご両親や祖父母などを見守ってあげてくださいね。
お洒落だったわたしなのだが・・いまは何を着ても似合わない・・
歳は取りたくないもんだ。「神戸っ子アーカイブス」を検索して
1974年11月号をみてください。6ページ当たりに55年前のわたしが
写っています。そんな面倒なことをして、みてくださるとは思わ
ないけど。