中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

芥川賞「影裏」を読んで感じたこと

 第157回芥川賞の受賞作品「影裏(えいり)」を読み終えての
感想を書いておきたい。受賞者は沼田真祐さんである。
いつものことながら選考経過と、10人の選考委員の「選評」を読む。
選評は丁寧に読む。
そののちに受賞者のインタビュー記事を読み、次いで「受賞の言葉」を
読み、受賞作品を読む。実は、作品を読み終わってから、もう一度
各委員の「選評」を読み返すことにしている。
 今回の受賞者は初めて候補に取り上げられて、1発で芥川賞を受賞
したというのだからすごい。
 何度も候補作になり、受賞の電話を待っていたが、連絡がなかった・・と
いう事例は嫌と言うほど聞かされている。だから、凄いといえば凄い。
しかし、なによりも運がよかった・・と言えるかもしれない。時の運という
やつだ。運も実力のうちだといえるから、やはりすごいというしかないだろう。
 まず文章がきれいだ。ここまでそぎ落として丁寧に美文を作るのかと思える
ほどに美文にあふれている。 多分、選考委員たちはこの美文に惚れて
しまったのかもしれないと、思ってしまう。
 村上春樹さんは2度も候補作になりながら受賞できなかった。それは多分、
彼独特の内面を選考委員が読み切れなかった?のかもと思ったりする。
 「影裏」は、文章が美しく読みやすいのだが、もう少し削り落としてもよい
部分があったのではと思ったりする。何かが心に残るというような作品だとは
思わなかった。