中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

ノーベル文学賞に思うこと

2017年のノーベル文学賞長崎県出身の日系イギリス人で作家のカズオ・イシグロさん(62)に
授与すると発表しました。
授賞理由は「彼の小説は、偉大な感情の力をもって、我々の世界とのつながりの感覚が、不確かな
ものでしかないという、底知れない奈落を明らかにした」などとしています。
 毎年候補に挙がる村上春樹さんの受賞は見送られたようですが、イシグロさんと村上さんの作品を
読むと、二人はよく似た傾向を持っています。
二人のうち、どちらが選ばれても不思議はないでしょうが、それだけに、今年イシグロさんが選ばれた
と言うことは、こんご村上さんが選ばれる目はなくなったようにも思います。
英国人か日本人か・・で、英国人が選ばれたのでしょうか?? まさかね。
 村上春樹さんの小説を数多く読んで、はじめて彼の書きたいことが理解できるようになってきました。
村上さんの小説のどこがいいの・・・と言ってきた私が、もうこれの作品を30冊も読みました。
イデアやメタファーで惑わされる小説が多いのですが、かれは暴力を嫌い、観念の世界を通じて悪を
描いています。村上文学はエンタメ(娯楽)のものではないので心地好い気分にさせるてくれるというもの
ものではありません。どちらかと言えばちょっと気持ち悪い的なものが多い。イシグロ作品にも同じ
ことが言えます。
エンタメではない文学作品とは夏目漱石森鴎外芥川龍之介安部公房三島由紀夫ドストエフスキー
カミュなどのような作品です。村上春樹さんの作品は読み易いという人が多いようです。でも、それって、
上っ面を読んでいるのではと思うのです。彼の作品は重すぎるのです。しかし、それを読み易いように
書くことができるのが、かれの力なんでしょうね。イシグロさんが受賞したので、それならどうして村上さん
じゃないの???って思ってしまいました。
海辺のカフカ」でも、最近作の「騎士団長殺し」でも、かれは同じテーマを追い続けています。