実はわたしは、村上春樹さんをあまり高く評価していなかった。
私と妻は、かなりの読書好きである。妻は78歳私は83歳。
二人読んできた本の数はいったいどれぐらいになるのだろうか。
とはいっても・・私が若いころに読んだのは江戸川乱歩のすべての
圧倒的におおい。本はかさばるので、なるべく整理してしまうように
ができないのでそれだけで200冊以上は書棚にある。
が気に入るとその著者の本をすべて読み漁るというのがわたしの読み方
なのです。
本のイメージが良くなかったからか・・その後は読まなくなってしまっていた。
一昨年だったか私たちが尊敬する方から「村上春樹さんの著作が好き
なのです」という言葉を聞いたときから・・・それなら・・・食わず嫌いだった
のかもしれないので、もう一度しっかりと読んで行こう!と腹を決め・・・
そうなのです・・・腹を決めなければ・・これだけ凄い冊数の本を読むことは
できませんから・・ね。
あれから約一年半ぐらいになるのか、二年ぐらいになるのか・・記憶は
すごい量なのでハッキリしませんが・・・やっと読み終えました。約60冊
ほどかな?
最後に読んだのは、村上さんが若いころに書いた「スプートニクの恋人」
でした。 素晴らしい内容でした。 彼がまだ30歳代に書いたものだろうに
よく書かれている。 言い換えると83歳の(もうすぐ84歳になる)わたしが
読んでストンと落ちるものがありました。よく書けてますね。
小説というものを、ドラマのように筋を追って読むものと考えている人が
とても多いようです。 しかし、小説というのは「人生」「人間」を書いたもの
なのですから、読み手に哲学的な考証ができる要素も求められます。
村上春樹さんの作品は比喩が多く出てきます。比喩を理解できないと
作品の中に入ることもできないでしょうね。 昨年のノーベル賞作家のカズオ・
イシグロさんの作品もすべて読みましたが、イシグロさんの作品も比喩が
多いのです。 村上春樹さんの作品とよく似ていると私は思っています。
一言でまとめると、やはり・・村上春樹さんは凄い人です。私は1週間後
います。 実はこれまで2度読んでいますが、亀山さんの訳が良いとのこと
なので、もう一度読み返してみるのです。 なんといっても・・小説というものの
ありかたを指し示している原点ともいえる小説なのですから。
世界中の小説家が目指しているのが「ドストエウスキーのカラマーゾフの
兄弟」のようなものを書きたい・・ということなのでしょうから。 イシグロさんも
そのように言っておられます。 凄いですね。 交響曲だって現在作られている
作品よりも古典が優れているのですから。文学も同じようなものですね。
本を読むということは、人生を考え、人間の生き方を考えるものだからこそ、
毎日読みたくなるのですね。 「スプートニクの恋人」はとても読みやすいです
から・・よんでみてください。 読み手によりますが・・かなり深いことが書かれて
いる作品です。
村上作品で馴染めないのは、すべての本のタイトルですね。「スプートニク恋人」
なんてタイトルなので・・一番最後になったという次第です。