日本の専門医の医療レベルが南アフリカ以下だと書いたら、
事情通の方から「中原さんはやさしいね。南アフリカがAクラスだと
したら、日本はCと書かれていましたね。実際はD以下だと知っていて
書いたのでしょう?」と、お電話をいただいた。
日本にも優れた医師がいるから、あまりにはっきり書かないでいたの
だけれど。
いまから9年前に、ある大学病院の部長に尋ねたことがあります。
この病院には何百人という医者がおられるでしょうが、「がん医療」に
詳しい医師は何人おられますか」と。
部長の医師は、指折り数えて「7人ですね」と仰った。
あれから9年経って、どれだけ増えたのだろうか。
多分25人ぐらいではないかと思っている。
1昨年、従弟がすい臓がんを患った折に、インフォームドコンセントに
出席された5人の医師たちが、がんについてあまりにも無知なのに
驚いたものだった。
転移を確かめるために肝臓に3カ所穿刺して採った細胞のうち
2カ所に「壊死」が見られたが、どういう理由かわからないという。
私は、壊死しているということは、転移という証拠ではないですか?
と、問うたが彼らは答えられなかった。
結局、患者本人に医療の選択を迫り、彼が「手術を受けます」と
答えてしまった。
手術日、開腹して、すぐ閉じてしまった。すでに転移が広く進んでいた
からだ。この判断には、内科、肝、胆、すい外科も絡んだ判断だった
だけに、なおさらレベルの低さを思い知った。