年老いた親を持つ人たちに読んでほしくて書いています。
これまで(1)~(2)に書いてきたように、高齢になるといろんな肉体上の退化が
見られます。その中には、生活の質をかなり損なうものが多く、高齢者は痛みなどを
辛抱しながら毎日を過ごしています。
でも、症状があるたびに口に出して言うわけではありませんから、周囲の人は
気付かないでしょうし、口に出して言っても「また、言ってる」と言うように軽く受け流して
いるのではないでしょうか。
かといって、高齢者の方が、若い人に同情してほしいなどと思っているわけではなく、
真実を伝えたいと思っているだけだと思います。そのような声を真摯に受け止めて
置くと、自分が高齢になった時に参考になるかもしれません。
電車の優先座席に悠然と、平気で座っている若者たちは、高齢者の真の苦しみや
痛みが分かっていないのだと思っています。
高齢者をいたわるという、美しい日本の慣わしがいつも間にか消え去って言っていることに
寂しさを感じるのは、私だけでしょうか。
(2)では頭部の変化について書きました。
さて、今日は首から下にまいりましょう。咽喉も退化してきます。若いころが美声だった人も
声がガラガラ、高い音が出ないなど、カラオケでも充分楽しめなくなるものです。
高齢になると、食べたものが肺に入ってしまう「誤嚥」が起こります。人間が言葉を得る
ことと引き換えに失ってしまった機能と言われていますが、、口から入った食べ物は、
食道から胃にはいります。普段は空気が肺への酸素を送るために「弁」が肺の側に
開かれ、飲食をするときには、弁が胃の方に開かれるようになっています。
しかし、高齢になると「弁」に指示を出す脳の働きが遅れ気味になり、飲食したものが
肺へと流れていき、「誤嚥」とり、肺炎を起こす原因ともなります。
高齢者に肺炎が多いのはそのためです。タバコと酒に縁の深い人たちは、高齢に
かかりますから、生活習慣病だといえます。症状があって発見なれた時には、すでに
かなり進んでいて、治療も辛いものになります。
食道の次は「胃」です。胃の場合は、誰もが何度も異常を感じた経験があるでしょう。
食べ過ぎ、飲みすぎによって不快感が出やすい臓器でもあります。高齢による胃の
病気は、がんが一番多いのですが、高齢になると胃の働きが不活発になり、食欲も
落ちてきます。だんだん食事量が減ってくるのです。
よく観察していると、70歳と75歳では、かなりの食事量に変化が起こっているはずです。