中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

私流生きから(32)

肝臓炎と言う診断だったが、いまでいうC型肝炎ではなかったのかと思ったりする。
とにかく、しんどい症状だった。
会社に行けない。当時は会社を休めば収入も途絶えた。
家内の収入だけに頼るしかなかった。そのわずかな収入の中から金をもらって
本を買った。「簿記の入門」と言う本だった。
 
こんな弱い体では、これから先がどうなるのかと不安だった。
体力に自信がなかった。
だから、これからは、頭を使って生きてゆこうと決心した。
と言っても、どう頭を使うのかが問題だった。
初めから簿記を選ぼうと思ったわけではない。
本棚を観ているうちに思いついたのだった。
 
「簿記の入門」は当時のその筋の第一人者が書いたものだった・(名前を忘れた)
とにかく、毎日朝から晩まで読んだ。書いた。練習した。
根気と言う点では自信がある。弱い体力で農作業をやってきたり、ひどい湿疹に
泣かされ続けてきたり、両親に保護されることなく耐えてきたので、忍耐と根気だけは
自信があった。頭には自信がないが、根気で能力不足は超えられるだろうと思った。
 
大阪ではやって行けなくなった。
収入が厳しい。家賃が高い。このままではどうしようもなくなる。
家内が妊娠していると私に告げた。
このままでは生むこともできない。
今のうちに、安全地帯へいこう。
家内の里も同じ淡路島の同じ町である。そこへ行けばなんとかなる。
思い切って、決心し、もう二度と足を踏み入れることもないと思った淡路島に戻った。
昭和32年秋だった。