中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

随筆自伝(141)私を守ってくれたのはだれなのか

       《エスペランスの海は世界一?》

 我田引水かもしれないが、私はエスペランス(Esperance)の海が世界一だと思っている。世界には美しい砂浜があり、きれいな海水がある場所が多い。カリブ海バハマもきれいだった。しかしエスぺランスの場合は、砂浜の白さといい、海の碧(あお)さといい、すべてが世界一だと思った。砂がきめ細かいために波打ち際を車で疾走することができる。日本の能登半島にも波打ち際を車で走れるところがあるが規模が違う。騙(だま)されたと思ってぜひ行ってほしいものだ。

真っ白い砂浜と真っ青な海が広がっている最高の場所なのに、ここにも観光客はほとんど見当たらないのは、もったいないのか。これが自然なのか。

 ここの砂は、少なくともオーストラリアでは最も美しいと言われている。シリカ砂で形成されている海辺であるからだそうだ。「ラッキー・ベイ」にぜひお出かけください。

      《タンカー桟橋での貴重な思い出》

 夏場のエスペランスには時々フェーン現象が起きるらしいが、私たちが訪れた時も42度という高熱が襲っていたので日中の外出を控えて夕方から出かけた。宿泊していたモーテルの近くに桟橋があった。とてつもなく長くかつ広い桟橋で、その昔はタンカー用に使用されていたようだった。

桟橋の陸に最も近い部分には、数台の調理台と水道が設置されていて、釣り人たちはここで魚をさばき、アラを海に投げ捨てるようになっている。そのアラを目当てにたくさんのシーライオンが集まっていた。

 我々4人も桟橋の中ほどで釣り糸を垂れる。田仲さんは釣りの名人だと自負しているが全く釣れない。妻が最初に釣り上げた。姿の良いカワハギだった。針を深く呑(の)み込んでいるので、すぐには外せないから私の竿(さお)を渡す。するとまたもや妻がカワハギを釣り上げる。針を付け替えた私の竿を渡すということを繰り返し、私は針を付ける作業と餌を付けることに追われて釣る暇がない。

妻の場合、釣りの経験がないからとにかく釣り糸を海の底まで垂れて、しばらくして引き上げるとカワハギが揚がってきたというわけである。 釣ったのではなく、魚が針を呑み込んでくれていたという感じなのだ。釣果は妻だけで他の三人は釣れない、名人の田仲さんも羨ましそうに妻が釣った10匹のカワハギを見ている。その夜の美味なおかずになった。

妻は今でも、オーガスタでのシマアジエスペランスのカワハギの釣果と、ワナルーゴルフ場でのホールインワンを、「あなたにはできないことを私がやったと自慢」にしているが、事実だから自慢されても仕方がない。

       《巨大エイの群れ》

 翌日の夕方にも桟橋に行った。そして二度と見られないだろうという光景を目の当たりにした。

魚のアラを求めてきたのだろうが、砂浜近くに2メートル前後もあろうかと思うような巨大なエイの親子家族?十数匹が群れて泳いでいたのだ。 その光景は水族館で見るものとは違い圧倒されるものがあった。 一生忘れられないというほどの感動を桟橋の上から眺め、約1時間も堪能したものだ。

 自然の状態で、近距離というか、直ぐそばでシーライオン(オットセイ)の群れがみえ、翌日には巨大なエイの群れが見られるなんて、すごいことだと感動したが、ここに住んでいる人たちは、もっといろんな自然の姿を日々見ているのだろう。 海は南極海に面している。

     《ピンクレイク後日談》

 この旅行から1年後に知り合ったワーキングホリデーの女性がエスぺランスにドライブ旅行するという。彼女にピンクレイクの話をして「ぜひ塩を取って来てほしい」とお願いしたところ約1キログラムの塩を持ち帰ってくださった。後にも先にも、この塩ほどおいしいと思った塩はない。ゴルフ場の帰りにトマト農家に立ち寄り、熟したトマトを自分で採って5キロばかり買って帰る。湯むきしたトマトに、この塩をかけて食べると何とも言えない旨(うま)さが口に広がる。

ピンクレイクがピンクに輝いて見えるのは、雨が少なく酷暑の年である。 塩を目当てにするならば、ビニール袋とノートの下敷きのようなものを準備しておくと採取しやすいかもしれない。いずれにせよ、エスペランスはぜひ一度は訪れておくべきところだと、推奨しておきたい。

 豪州のドライブ旅行は、これ一度だけだった。 日帰りドライブなら何度もあるが。