先日92歳で亡くなった俳優の織本順吉さんの娘さんが、90歳になっている父を映像に撮り続けたドキュメンタリーの「老いてなを花となる」を観た。
顔をみれば誰もが知っている俳優さんで出演作品は二千を超えているが、名前は知らないと言われる俳優だ。
90歳を超えて老いていく父の姿を遺しておきたいと娘さんが赤裸々な映像を撮り続けた。
3部構成の長いものだったが、2部、3部は観ていて辛かった。
7歳違いの奥さんがよく支えているが、次第に互いの「我」が衝突してしまう。
他人事であっても観ていて辛い。
私達は５歳半違いの夫婦だが、あのような「我」の衝突はない。
心の中では同じような我の衝突があるのだろうが、
衝突までには至らない。
90歳時の彼の姿と、あと二年後の自分の姿とを重ね合わすと、やはり歳は取りたくないもんじゃと思ってしまう。
それでも彼は、もう一花と向き合っていた。
私も、妻の体調が戻れば、書きつつある原稿を書き上げたい。４０万字、原稿用紙で千枚が目標であり、あと二百枚程度だ。
それで満足なのだが、お迎えがくるかどうかは分らない。
