「負けるが勝ち」
あまり自慢にはなりませんが、私は喧嘩で殴り合いなどしたことがないのです。
殴られたことはありますけどね。
なんと情けない男でしょうね。
たまたま理科の時間に4つの机をひとかたまりにしていたときに、一番のゴン太が私を机の上に揚げて殴りかかってきたことがあります。
殴り返したのではなく、なんとなく手を出したら、相手が鼻から大出血をして、彼は何故かその後はゴン太をやめました。小学5年生だったかな?
記憶にあるのはそれだけで、喧嘩をしたことがない。
いじめられても逆らわず、大人しくしていましたね。
きっといつかは勝つと自分に言い聞かせていました。保護者のいない私は、訴える人もなくただ耐えることでしのいでいました。
だからといってはなんですが、大人になってから、争いごとに負けたことは一度のありません。
弁護士を相手にしても勝っていました。
争いごとでは全勝無敗です。
神戸新聞に連日トップニュースになった事件があります。
あるヤクザの親分に、3億円もの手形を無理やりに書かされたことで一家自殺をした方がいました。
最初は「オイルショックの最初の犠牲か」という見出しでした。
次の日は「暴力団絡みか」という見出しになっていました。
三ヶ月間、遺族に代わって暴力団長と交渉した私が勝ちました。
「もう手を打ったんやから、あんたが何者か言うてくれるか。俺等の仲間でもなさそうやし、弁護士でもなさそうやし、そやけど肝がすわってるし、いったいあんたは何者でんねん」
と言われたのが今も面白く記憶に残っています。
灘区の水道筋界隈を根城としていた親分です。
負けるが勝ちとは上手い文句です。
勝ち負けは力の勝負では有りません。
勝ち負けは、頭の勝負と肝が座っているかどうかの勝負です。
見た目に強そうでも弱い人のほうが多いものです。
堂々としていれば怖いものなしです。
悪いことをして威張るよりも、耐えている人の方が強いのです。