今日の言葉は「こころの健康が1番」です。
よくきくありふれた言葉ですが、意外と忘れがちな言葉かもしれません。
突然に災難にそうぐうした時にたしかな心の健康を維持しているかと言うと、そういう時にはドギマギしてしまっているのではないでしょうか。
私が27歳のときでした。養鶏を強く勧めてくださった農協の組合長さんが、エサ代は当分の間貸し当たえるから心配なくやれと言って下さった。
なぜ私に白羽の矢が当たったのかというと、ブラジルサンチアゴのコチア農業組合が日本全国から、
移民青年を募集していて、兵庫県では250名の応募があった中で私が十名の中に選ばれたと新聞記事に掲載されていたので目をつけたのだと、おつしゃった。
当時正木氏は、農協の組合長だけではなく、合併した町の議会委員長であり、戦争中の位が町一番という名士であった。次の町長当選間違いなしという評判だった。
ヒナを300羽入れて育て、二ヶ月後にまた300羽を入れて育てる。雛が卵を産むまでに半年かかる。卵を産むようになった鶏が千羽と中雛、子雛が500羽、ようやく目標の数字に達し、これから採算が合うようになると思えた矢先に正木氏が交通事故で亡くなられた。
農協に餌を注文すると、納入できませんという。そればかりではなく、これまでに貸している餌代金を支払えと言われる始末となって途方に暮れた。
ついにあと3日で餌がなくなるとわかった夜は眠れなかった。
鶏というのはショックを与えると、毛替えを始め、しばらくは産卵をやめてしまう。だから餌を与えない等は大変な事態に追い込まれること必定である。
朝方3時まで忸怩たる思いだったが、健康第一、心の健康が一番だから寝よう、、と決めた。
昨夜どんなに考えても知恵が湧いて来なかったのに、一夜開けると臨機応変で開路が見つかった。
自分だけではなく1500羽の命も救えたのだった。
27歳までで最大のピンチを脱出して自信ともなった。