中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

「余禄」にみる今の日本の姿を鏡に映してみると

 今日の毎日新聞の「余禄」は、さすがというべきか、あまりにも

見事な文章だったので、思わず紹介させていただくことにしました。

わたしは昨日から、両脇腹後ろに激痛が走って入力できない現状ですが、

余禄を読んでいただいて、今の日本の一面をじっくりと見つめてください。    ******* 

 農家のおやじが畑で手鏡を拾って見ると「じいさまの写真だ」と驚く。大事そうに鏡を引き出しにしまうと、のぞいていた女房がこっそり取り出して見た。「何だろうね。こんなばあさんといい仲になるなんて」▲鏡の中が自分の姿と分からないこの民話、英国のものという。それにしてもコロナ禍という災厄(さいやく)は、日本の今の姿を映し出す鏡のような役割を果たしてきた。残念ながら、鏡に映る姿は今までの自己イメージとは大きく隔たっていた▲IT活用やワクチン開発などの遅れは技術大国の幻想を吹き飛ばした。政治も役所も深刻化する危機に後手後手の対策を小出しにするばかりだ。その自己像にさらに情けない姿を上書きした接触確認アプリCOCOAの不具合だった▲感染者との濃厚接触を知らせるスマホ向けアプリCOCOAは、コロナ対策の決め手として厚生労働省が大々的にインストールを推奨してきた。だが昨年9月からアンドロイド版の端末には接触通知が送られぬ状態になっていたのだ▲アプリに不具合はつきものだが、その対応を含め適切に運営管理されていると誰もが思う国家プロジェクトだ。まさかそれが4カ月間も機能せぬまま放置されていたとは。推奨に応じた利用者は何かばかにされたような気分になろう▲「お粗末」と首相も認めた体(てい)たらくは、その問題点をしっかりと摘出せねばならない。困るのはコロナ禍の鏡に映った自分たちの姿を、どこかよその世界の愚か者と思い込んでいる政治家や役人たちだ。