中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

風評被害は政府が責任を持つというが

 前・環境大臣原田義昭氏が辞任するに際して放射能汚染水を希釈して海洋に放出すべしと述べて非難された問題で、私はこれまで2度私見を述べた。海洋放棄するのなら、以前に大都会から出る膨大な量の糞尿を黒潮まで運んで投棄してきたように、希釈水も黒潮まで運んで放出すればどうかと。黒潮に流せばさらに希釈されて世界を駆け巡るからと。ただし、そのためには世界中の人々の同意が必要だろうと書いた。

この海洋投棄問題に関して、原田義昭氏は次のようなコメントを発表しているので紹介しておこう。皆さんが、この問題をどう考えるか、今後どう取り組みかの参考にもなると思う。

 『環境相に就任した昨年の秋、東京電力福島第一原発を視察した。高台から見渡すと処理水を保管するタンクが1000個近く並んでいる。知ってはいても実際に見ると大違いだった。 2022年夏ごろには満杯になるという。東京電力の担当者に「いつまでやるのか」と聞いてもはっきりした答えはかえってこない。その時から、この問題をどうすべきか、ずっと悩んでいた。

 環境相としての最後の記者会見で、希釈して海洋放出すべきだという趣旨の発言をして批判を受けた。しかし、1年近く考え、批判があることも覚悟しながらも、あえて発言したことを理解してほしい。

 この問題は経済産業省で議論しており、厳密に言えば環境省は所管外だ。しかし、私は環境担当であり、原子力防災担当であり、関係省庁としては大いに関係があるので、政治家として発言することはある。

 所管外ではあってもまったく私的な発言ではない。その意味では覚悟のうえの発言だ。もちろん政治家だから何を言ってもいいわけではない。科学的な裏付けがあることが非常に大事だ。 環境相時代に10人近くの専門家から話を聞いた。多くの専門家は最終的には海洋放出しかないと思っているが、責任問題になるためにはっきり言えないでいると感じた。地層注入など他の案についても聞いたが、現実的ではなかった。

 処理水は十分安全なものに処理されている。国際的な基準でも安全なレベルだ。私が力づけられたのは原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長が「制限値以下に希釈して海洋放出すべきだ」と発言していることだ。原子力規制委員会原発の安全についてもっとも厳しい判断をする立場だ。その委員長の発言は重い。

 もちろん「安全だから」といってそれでよいというわけではない。安全であっても風評被害は起こる。漁業者や地域の皆さんの懸念は当然だし、関係者が慎重になるのもよくわかる。だから私も悩んだ。 全国漁業協同組合連合会(全漁連)に対しても地域の皆さんに対しても、私の発言で驚かせ、心配をさせ、悩ませたことについてはまず謝らなければならない。心からおわび申しあげたい。

 私の後任になった小泉進次郎環境相の発言についても、前任者がご心配をかけたという意味はその通りであって、私も同じ気持ちだ。私に代わって小泉氏が謝ってくださったと思っている。

 ただしおわびはおわびとして、海洋放出しかないという私の考えは変わらない。論理的に他に選択肢がないと思っているからだ。

 風評被害が起こるのは政府の対応が信頼されない時だ。不安を起こさないためには、政府は何があっても逃げず、どこまでも責任をとると事前にはっきり言うべきだ。経済的なことも含めて国がしっかり担保することが、不安を持つ人たちへの責任の取り方だと思う。いつの時点でもそうした政治の責任感がなければ、これほど重要で深刻なことは決断できない。

 国際原子力機関IAEA)年次総会では韓国が処理水の海洋放出について懸念を示した。今、日韓関係はいろいろあるが、それとは別に隣国としての懸念は真摯(しんし)に受け止めなければならない。安全性や国際的な基準を守ることについて繰り返し説明するしかない。 この問題の大変なところは、このまま放置しておけないということだ。いつかは誰かが決断しなければならなくなる。だれも触ろうとしない、一種のタブーになっている。  私の発言によって関心が集まったことは決して悪いことではないと思っている。松井一郎大阪市長が処理水の放出を受け入れる可能性に言及したことには大変、勇気づけられた。  自分のフェイスブック陸奥宗光の「他策勿(な)かりしを信ぜむと欲す」という言葉を引用した。「他に方法は無かっただろうか? 全力で努力したが、結局他の方策は見つからなかった。あらゆる非難や批判は覚悟の上、この結論を選択した。責任はもちろん取る、いずれ歴史が評価してくれる……」という意味だ。  海洋放出について発言した時にはこの言葉が頭にあった。これからも慎重にこの問題に関わっていきたい。』・・・と。

  海洋の、どこに、どんな形で希釈をして・・流すのか?? 原田義昭氏は書いてはいないが、彼がこんな発言をするということは、多分、代理発言だとおもえる。政治家がよく使う手で、政府の本音をかれが代弁して世間の反応を確認しているのだろう。

そういう意味では、見捨ててよい発言ではない。みんなが考えなければならない発言なのだ。原発事故後、私は何度も何度もこの問題を書いてきた。東電の対策が甘すぎると。タンクに貯めておく以外の方策を講じるべきだと。凍結方式を東電が言い出したとき、そんなものでは役に立たないだろうと書いた。やはり、何の役にも立たなかった。時間の金の無駄だった。そんな金があるのなら被害者に配るべきだと思う。

東大出の秀才ばかり揃って東大村とも呼ばれる東電さんは、知恵が働かないらしいと、私は思っている。