中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

原発事故は第2の敗戦か

 評論家の船橋洋一さんの本「原発敗戦・危機のリーダーシップ」
 (文春新書)はお勧めの本である。
 原発事故は第2の敗戦だという彼の見方は正しいと思うのだ。
 福島第一原発所こと第二次世界大戦の敗北を重ね合わせて
 解析し、66年前の敗戦と比較して日本人は何も変わっていないと
 言う。
 危機管理の甘さ、兵站作戦の拙さ、持久戦に不向きなのは
 なぜか。
 大事故に対応できる実力チームの欠如。
 官僚組織は、平時も危機にも適材適所も考えずに年年歳歳
 人事異動をしている組織としての甘さ。
 絶対安全神話に見られるリスクのタブー視化。
 縦割り、たこつぼ、縄張り争い。権限と責任を明確にしない。
 指揮命令系統を作れない。
 この本に書かれていることに異論はないが、ひとつだけ付け加えたい
 ことがある。
 兵站作戦や持久戦に弱い日本人の精神的、構造的な問題もあるが、
 第2次世界大戦 (日本では、大東亜戦争と呼ぶ) のアメリカとの
 比較をすると、多くの人たちは物量の大きな違いというが、私は
 「命を大事にする度合いの違い」だと考えている。
 捕虜になるぐらいなら死を選べと教えた日本軍と、命を大切にしろ
 と教えたアメリカとの違いは大きい。
 原発問題において「安全神話」を作り上げたのも人の命を軽んじて
 いる証である。
 アメリカなどは、「連邦緊急事態管理庁」を設置して重大な危機に
 備えているが、それは住民の命を守るためなのだ。
 命を守ることを第1義に考えれば、おのずと対応策がわかるというものだ。
 汚染水対策も、廃炉コストなども、再稼働問題も国会ではまったくと言って
 よいほど論議がされていない。
 命を第1義に考えて、今後の対策を早く建てるべきだと思うがどうだろうか。